過失割合を修正できた事例~駐車場内の交通事故その6~

2024年6月23日

皆様、こんにちは!

優誠法律事務所です。

今回のテーマは駐車場内の交通事故の過失割合です。

これまでも駐車場内の交通事故の事例をいくつか紹介してきましたが、記事を読んでくださっている方が多いようで、過失割合についてお困りの方々からのご相談が寄せられています。

今回も別の駐車場内の交通事故の過失割合が問題になった事例をご紹介しますので、皆様のご参考にしていただけますと幸いです。

今回の事例は、二台の自動車が空いていた駐車スペースを取り合うような形になってしまって衝突した交通事故です。

今回ご紹介するMさんの交通事故のような事例は、これまでそれほどご相談いただいたことがありませんので、もしかするとあまり多くない事例なのかもしれません。

ただ、駐車場内では発生する可能性が高いパターンの事故のように思いますので、ご紹介させていただきます。

今回の依頼者~駐車場内で車VS車の交通事故~

今回の依頼者Mさんは、山梨県在住で

・交通事故は大型スーパーの広い駐車場の中

・相手方に過失割合5:5を主張されている

・交通事故による怪我は頚椎捻挫

・治療期間(症状固定までの期間)は約3ヶ月間

・弁護士特約が使用可能

という内容でした。

【本件の争点】過失割合

事故現場の駐車場の写真

上が本件の交通事故の現場となった駐車場です(今回の交通事故が起きた際は、ほとんど満車に近い状況でした。)。

事故発生状況の図

Mさんは、スーパーで買い物をするためにこの駐車場を訪れ、空いている駐車スペースを探していました。駐車場が混んでいる時間帯でしたので、なかなか空いている駐車スペースが見つからず、ようやく通路に接している駐車スペースが空いていたのを見つけたので、一旦通過してバックで駐車を始めました。

そうしたところ、通路を走行してきた相手方もMさんが駐車しようとしていたスペースが空いているのを見つけて、通路からそのまま前進で駐車スペースに進入してきました。

Mさんは運転席側のサイドミラーを見ながらバックしていて、ルームミラーを確認していませんでしたので、相手方の動きに気が付かず、バックを続けた結果、衝突してしまいました。

相手方は、通路を走行して来てようやく見つけた空スペースを確保しようとして慌ててスペースに進入しましたので、衝突直前までMさんがバックで駐車しようとしていることに気が付いていませんでした。

相手方は、交通事故直後に現場でMさんと話した際には、Mさんが前進で他の駐車スペースに駐車しようとしていると思ったと主張していたとのことでした。

ただ、Mさんの前方には当時空いている駐車スペースはありませんでした。

相手方の保険会社は、今回の交通事故ではMさんと相手方の間に優先関係はないという前提で、この事故の過失割合として50:50を主張していました。

Mさんとしては、先に空いている駐車スペースを見つけてバックを始めていたのに、相手方が横取りしようとして通路からいきなり駐車スペースに入ってきて衝突されたという意識でしたので、相手方保険会社の担当者から優先関係がないから過失割合50:50が妥当などと言われたことに納得できず、私たちにご相談されました。

幸いMさんの自動車保険には弁護士費用特約が付いており、弁護士費用のご負担なくご依頼いただける状態でした。

基本過失割合は?~判例タイムズの類型に該当しない事故態様~

まず、今回の交通事故の基本過失割合を考えます。

(「基本過失割合とは?」については、以前の記事「過失割合を修正できた事例~駐車場内の交通事故その1~」で説明していますので、こちらもご覧ください。)

以前の記事でもご説明しましたが、別冊判例タイムズに掲載されている駐車場内の交通事故の類型は3つしかありません(別冊判例タイムズに掲載されている駐車場内の交通事故の3類型については以前の記事「過失割合を修正できた事例~駐車場内の交通事故その2~」でご説明していますので、そちらもご覧ください。)。

そして、残念ながら、今回の事故は別冊判例タイムズの3類型には該当しません。

このような別冊判例タイムズの典型類型に該当しない駐車場内の交通事故の場合、相手方保険会社は、「お互い様だから」などと言って過失割合は50:50だと主張してくることが多いように思います。

おそらく、今回の相手方保険会社の担当者も同様の考えで、50:50の主張をしてきたようでした。

 確かに、駐車場内の交通事故の場合、「駐車区画進入車と通路走行車の事故」や「通路走行車と駐車区画退出車の事故」のように優先関係が明確な類型であれば、過失割合を検討しやすいですが、駐車場内では色々なパターンで事故が発生しますので、必ずしも優先関係が明確なものばかりではありません。

ですので、優先関係が明確でない場合には50:50から検討を始めるということはあり得ます。

過失割合の検討要素

上でご説明したように、今回のMさんの交通事故の類型は別冊判例タイムズには載っていません。

そこで、まずどちらが優先的な状況であったかを検討する必要があります(優劣がないのであれば、相手方保険会社が主張するように過失割合50:50もあり得ます。)。

今回のMさんの事故の場合、Mさんが先に空いていた駐車スペースを見つけて駐車するためにバックを始めました。

相手方は、それに気が付かず、逆方向から同じ駐車スペースに前進で進入しました。

そして、衝突した瞬間、Mさんの車両は駐車スペースに半分くらい入っていたのに対し、相手方の車両は左前部の助手席側の前輪くらいまでが入った程度でした。

そして、Mさんがバックで駐車スペースに入ろうしていたのに対して、相手方は前進で駐車スペースに入ろうとしており、相手方の方がMさんの車両を注意しやすい状態であったと考えられました。

私たちは、これらの状況から、まず、Mさんの方が優先であり、過失割合50:50ではなく、相手方の過失の方が大きいと主張しました。

その上で、どのくらいの過失割合が妥当かを検討しましたが、相手方はMさんがバックを始めている状況で、通路を走行してきて同じ駐車スペースに進入しており、別冊判例タイムズの3類型の中では「駐車区画進入車と通路走行車の事故」(別冊判例タイムズ336図で基本過失割合は20:80)に近いのではないかと考えました。

そして、相手方が駐車スペースに入ろうとした時点では、Mさんが既にバックを始めており、Mさんの車両のバックランプやハザードが付いていました。

そのため、Mさんの車両に気が付いていたのであれば、Mさんがバックしていることにはすぐに気が付くはずであり、クラクションを鳴らすとか、一旦停止をするなど、衝突回避に向けた行動をとるのが自然な状況でした。

それにもかかわらず、クラクションを鳴らすこともなく、衝突の直前まで停止しようとする動きもありませんでした。

加えて、相手方はMさんの車両の存在には気が付いており、「別の駐車スペースに前から入れようとしているのかと思った」と主張していましたので(そもそもMさんの前方には空いている駐車スペースがなかったため、相手方の主張は信用性がありませんでしたが・・・)、相手方はMさんの動静を注意すべきところ前方不注視が著しいと指摘し、少なくとも過失割合は30(Mさん):70(相手方)が妥当だと主張しました。

交渉の結果~過失割合40:60で解決~

 上でご説明したように、過失割合50:50を主張していた保険会社に対して、私たちは、過失割合30:70が妥当だと主張して交渉をしました。

しかし、Mさんの車両のドライブレコーダーを確認したところ、Mさんはバックを始めてから運転席側のサイドミラーのみを見てバックしており、ルームミラーや目視で後方を確認していませんでした。

ルームミラーで後方を確認していれば、相手方の車両が同じ駐車スペースに入ろうとして前進して来ていることに気が付けたことが分かり、Mさんとしてもご自身の後方不注視を理解されました。

結局、相手方保険会社の担当者も私たちのMさんの方が優先という主張は認め、もともとの過失割合50:50の主張から修正し、40(Mさん):60(相手方)であれば了承すると回答してきました。

Mさんも、ご自身の注意不足を認識されたこともあり、40:60であれば納得できると了承されましたので、裁判にならずに交渉段階で示談が成立しました。

まとめ

今回のMさんの場合、結果的に50:50から40:60に過失割合を修正することができました。

今回の事案は、Mさんの車両のみにドライブレコーダーがあり、Mさんの方が少し先にバックで駐車スペースへの進入を始めていることが証明できましたので、Mさんの方が優先であると主張しやすかった半面、そのドライブレコーダーの映像によってMさんの後方不注視も明らかになってしまうという悩ましいものでした。

ただ、もしドライブレコーダーが双方ともなかったとしたら、Mさんが先に駐車スペースへの進入を始めたことを証明することは難しかったでしょう。

私たちの経験上も、ドライブレコーダーの映像によって過失割合を修正できた場合は多いですから、万が一のときのために、ドライブレコーダーを付けることはオススメします。

今回のMさんは、過失割合を10%修正することができましたが、過失割合は治療費や通院慰謝料などにも影響しますので、10%でも人身の示談金がかなり増額します。

私たちの優誠法律事務所では交通事故のご相談は無料ですから、納得できない内容で示談してしまう前に一度お気軽にご相談ください。

全国各地からご相談いただいております。

交通事故の場合、相手方保険会社とのやり取りは電話や書面ですから、全国どこにお住まいの方でもご依頼に支障はありません。

また、弁護士費用特約があれば、私たちがお近くに伺う際の交通費等も支給されますのでお気軽にご連絡ください。

☎0120-570-670

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また、他の過失割合を修正できた交通事故事例もご紹介しておりますので、よろしければそちらもご覧ください。

過失割合を修正できた事例~駐車場内の交通事故その1~

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投稿者プロフィール

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 甘利禎康 弁護士

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本(出版社:日本実業出版社)