過失割合を修正できた事例~十字路交差点(信号なし・相手方に一時停止あり)の交通事故~

2023年12月24日

皆様、こんにちは!

優誠法律事務所です。

今回のテーマは過失割合です。

今回は、信号のない十字路交差点での交通事故の過失割合が問題になった事例をご紹介します。

以前、駐車場内の交通事故についていくつか事例をご紹介しましたが、そのときにご説明した

●過失割合とは?

●基本過失割合とは?

●弁護士にご依頼いただいた場合の過失割合の争い方

などは、道路での交通事故の場合でも参考になりますので、是非こちらの記事(過失割合を修正できた事例~駐車場内の交通事故その1~もご覧ください。

今回ご紹介するEさんの事例も比較的よく発生する交通事故の類型ですので、同様の交通事故の過失割合でお困りの方は参考になさってください。

今回の依頼者~信号のない十字路交差点で直進車同士の車VS車の交通事故~

今回の依頼者Eさんは、長野県在住で

・交通事故は信号のない十字路交差点で発生

・双方とも直進の自動車同士

・相手方には一時停止線がある(Eさんが優先)

・相手方に過失割合20:80を主張されている

・幸い交通事故による怪我はなし

・弁護士特約が使用可能

という内容でした。

【本件の争点】過失割合

上の写真が本件の交通事故の現場となった交差点です(Eさん側から見た写真。事故当日の写真ではありません。)。

Eさんは、外出先から自宅に帰宅する途中で、自宅近くの通り慣れた道を走行していて、今回の交通事故現場となった信号のない十字路交差点を通りかかりました。

この交差点は、Eさん側には一時停止線はなく、Eさんから見て左右に交差する道路の方に一時停止線があります。ただ、Eさんから見て右側は建物があって見通しが悪いので、Eさんは交差点手前で十分に減速して、直進しようとしました。

その際、Eさんは、左側から今回の事故の相手方となった車両が走ってきたことが分かりましたが、相手方が減速し一時停止する様子であったことと相手方には一時停止線があることを分かっていたことから、そのまま低速で交差点に入りました。

しかし、Eさんが交差点を通過し終わるくらいのタイミングで、なぜか相手方が交差点に進入してきてしまい、Eさんの車両の助手席側の後部タイヤの辺りに衝突されてしまいました。

幸いこの交通事故では双方にお怪我はありませんでしたので、双方の自動車の修理費の賠償のみが問題になりました。

Eさんは、事故の際、交差点をほとんど通過し終わるくらいタイミングで急に相手方が出てきたため、避けることができませんでした。むしろ、衝突の際、ご自身が事故に巻き込まれたとは思わず、後方で音が聞こえたものの、一瞬何が起きたか分からなかったとおっしゃっていました。

相手方は、前をよく見ないで交差点に直進してしまったと話していましたが、それにしても、わざわざ交差点手前で減速しておきながら、目の前をEさんの車が通過している状況であえて交差点に進入してきたことがEさんには理解できませんでした。

相手方は、この事故の過失割合として2(Eさん):8(相手方)を主張していましたが、Eさんとしては完全にもらい事故だと考えていたので、ご自身に2割も過失があるとされたことに納得できませんでした。そして、ご自身の自動車保険には弁護士特約が付いていなかったものの、奥様の車の自動車保険に弁護士特約が付いていたことから、今回の交通事故でもその特約を使用できることを確認して、私たちに過失割合を争って欲しいということでご依頼になりました。

基本過失割合は?

まず、今回の交通事故の基本過失割合を考えます。

(「基本過失割合とは?」については、以前の記事で説明していますので、こちらもご覧ください。)

相手方保険会社は、今回の事故は、信号のない十字路交差点(相手方にのみ一時停止あり)での直進車両同士の事故であると主張し、両車とも減速していたので、別冊判例タイムズの104図によって、基本過失割合の20:80が妥当であると主張していました。なお、別冊判例タイムズの104図では、相手方が一時停止していた場合、基本過失割合が40:60になる可能性がありますが(一時停止さえしていれば必ず40:60になるという訳ではありません。)、相手方が一時停止したかどうか覚えていないと話したことから、保険会社も40:60の主張はしてきませんでした。

判例タイムズ104図
AとB同程度の速度の場合は基本過失割合20(A):80(B)
A減速せず・B減速の場合は基本過失割合30(A):70(B)
A減速・B減速せずの場合は基本過失割合10(A):90(B)
Bが一時停止後進入の場合は基本過失割合40(A):60(B)

保険会社の担当者は、あまり個別の事故状況を考えることもなく、判例タイムズの基本過失割合で主張してくることが多いように思いますが、今回の担当者も車両の前部と前部がぶつかるか、前部と後部がぶつかるかでは、数秒の違いしかないから基本過失割合のままで問題ないなどと主張していました。

しかし、既にご説明したように、Eさんとしては、交差点をほとんど通過し終わるくらいのタイミングで衝突されたので、事故を避けようがなかったと主張されていましたし、相手方は目の前を通過しているEさんの車両にあえてアクセルを踏んでぶつかりに行っているようなものですので、Eさんのご不満もよく理解できました。

こちらが、相手方から見た今回の事故現場の交差点です。この写真は今回の事故のときのものではありませんが、ちょうどEさんと同じように通過している車が写っています。右側の角は駐車場になっており、見通しは悪くありません。つまり、相手方は、ちゃんと前を見ていれば、Eさんの車両はだいぶ前から目に入ったはずでした。

交渉の結果~過失割合10:90で解決~

過失割合20:80を主張していた保険会社に対して、私たちは、相手方の過失が大きいことを理由に、今回のEさんの交通事故は別冊判例タイムズ104図の基本過失割合を修正して0:100にするべきだと主張しました。

特に、今回は相手方の供述がとても曖昧で、一時停止したかどうか覚えていない、よそ見していて前をよく見ていなかったなどと話していましたが、普通の人の感覚ならば、この交差点で左右の道路を一切確認せず、目の前を車両が通過しているのにアクセルを踏むなどということは考えにくいので、おそらく携帯電話をいじっていて気を取られていたなどの事情があったと考えられました。そのため、相手方の前方不注視は著しく、基本過失割合から大幅に修正が必要であると主張しました。

その後、相手方保険会社もこちらの主張を理解したものの、双方とも動いている状況だったという理由で、0:100は受け入れられないとのことでした。そして、10:90であれば了承すると回答してきました。

今回の事故の状況から考えると、裁判で争えば0:100での判決も考えられましたが、裁判になると1年くらい時間がかかります。Eさんとしては、過失10%に対する修理費の負担が約5万円くらいだったこともあり、5万円のために裁判で1年争う気にはなれないということで、10:90での示談に応じました。

まとめ

今回の交通事故のように、車両の後部に衝突された事故の場合、保険会社はそれだけでは過失割合の修正に応じないケースもあります。しかし、実況見分調書などの刑事記録を取得してみると、相手方が「衝突するまで(あるいは直前まで)相手の存在に気が付かなかった」と記録されているケースも多いです(ただ、今回のようなお怪我の発生しなかった「物件事故」では、刑事記録を取り寄せても有効なものはほとんど出てきません。)。

このような場合には、前方不注視が著しいと言えますし、保険会社も交渉で過失割合の修正に応じることが多いように思います。

また、Eさんのように、交通事故に遭った車両やご自身の保険契約で弁護士費用特約が付いていなくても、同居のご家族の車両の契約に弁護士費用特約が付いていれば、使える場合が多いです(別居でも独身のお子さんであれば適用できる保険会社も多いです。)。弁護士費用特約が使える方は、今回のEさんのようなケースでも弁護士費用の負担なくご依頼いただけますので、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。

私たちの優誠法律事務所では、交通事故のご相談は無料です。

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また、交通事故被害者のための専門サイトも開設していますので、そちらもぜひご覧ください。

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