請求された不貞慰謝料を減額できた事例その2~既婚者女性との不倫~

2024年1月8日

皆様、こんにちは!

優誠法律事務所です。

今回のテーマは不貞慰謝料です。

先日、請求された不貞慰謝料を実際に減額できた事例(請求された不貞慰謝料を減額できた事例その1)を紹介しましたが、その後も、不貞慰謝料に関するご相談が多く寄せられています。

今回も、請求された不貞慰謝料を実際に減額できた事例をご紹介しますので、皆様のご参考にしていただけますと幸いです。

ご相談内容

今回の依頼者A男さんは、地元の女性であるB子さん(既婚者)と不倫してしまいました。

そのことがB子さんの旦那さんに発覚してしまい、旦那さんは弁護士を就けました。

その後、A男さんの自宅に、旦那さんの弁護士から内容証明郵便が届き、不倫によって婚姻関係が破綻してしまい離婚に至ってしまったことが記載されていました。これに加えて、精神的苦痛の慰謝料として10日以内に300万円を一括で支払うよう求められるとともに、期間内に支払いがない場合には、訴訟等の法的手続に移行する旨が記載されていました。

不倫をしてしまったことは事実であるため、A男さんとしては、慰謝料を支払う方向で考えていました。しかしながら、不貞慰謝料の相場等について知らなかったこともあり、300万円という請求金額が妥当であるかについての判断ができなかったため、相談に来られました。

ご相談時、詳しくご事情を伺ったところ、B子さんとは性交渉にまで至っていたこと、交際期間は2年という長期間であったこと等、不貞慰謝料の金額が大きくなる要素が散見されました。しかしながら、一方で、上記交際期間にはB子さんが独身であった期間も含まれていたこと、交際期間に比して性交渉の回数が少なかったこと等、不貞慰謝料の金額が小さくなる要素もあることが判明しました。

その結果、300万円という不貞慰謝料の請求金額は、不相当に高額であるという見解を抱きました。

この見解をA男さんにお伝えしたころ、A男さんから、請求されている不貞慰謝料に関する減額交渉のご依頼を受けることになりました。

減額交渉

直ちに、旦那さんの弁護士に対して、A男さんから委任を受けた旨の通知をしました。

その後、書面にて、大まかに以下の点を旦那さんの弁護士に連絡しました。

①旦那さんに対する謝罪

②請求している不貞慰謝料の金額が不相当であること

③30万円での和解による解決のご提案

なお、上記①の謝罪については、前回ご紹介した事例の記事(請求された不貞慰謝料を減額できた事例その1)で詳しく触れておりますので、ご参照ください。

これに対して、旦那さんの弁護士からは、大まかに、

・婚姻期間と不貞期間の長さが同じであるという点で精神的苦痛の程度は甚大。

・不貞行為の回数よりも、実際に受けた精神的苦痛の程度の方が重要。

等の回答がなされるとともに、最低でも200万円を一括で支払うよう求められました。

この時点で、請求されていた不貞慰謝料の金額から100万円も減額することができましたが、それでも200万円という金額は不相当に高額であるというのが私の見解でした。

仮に訴訟を提起されたとしても、100万円以上の金額が認定される可能性は限りなく少ないこと,仮に不貞慰謝料を認める旨の判決が下されたとしても数十万円程度であると考えていたのです。

この点をA男さんにご説明した上で、今後の方針について数日間ご検討いただくことになりました。

A男さんは大変悩まれていた様子でしたが、最終的には、A男さんも既婚者であり、かつA男さんの奥さんは今回の不倫を知らないという事情があったため、仮に訴訟で勝てる見込みがあったとしても、裁判だけは何としても回避してほしいとのご意向で固まりました。

A男さんのご意向を踏まえ、訴訟等の法的手続に移行しないよう最大限に配慮しながら、引き続き、旦那さんの弁護士との間で減額交渉を続けました。

和解成立

減額交渉の甲斐もあり、A男さんが旦那さんに対して150万円を分割で支払うという内容で、和解が成立することになりました。

請求されていた不貞慰謝料の金額から150万円も減額できたことに加え、A男さんのご意向通り裁判を回避することもできました。

まとめ

不貞慰謝料を請求された場合、本人で交渉するにしても、弁護士を就けて交渉するにしても、交渉が行き詰まってしまうことがあります。

この場合、大まかには、①訴訟で決着をつけるか、②引き続き辛抱強く交渉を続けるかという二者択一の判断を迫られることになります。

今回ご紹介した事例においては、訴訟で勝てる見込みがあったものの、②引き続き辛抱強く交渉を続けるという方針になりました。

このように、訴訟で勝てる見込みがあるからといって、必ずしも①訴訟で決着をつければ良いという方針にはならないのです。

そして、どちらの選択をすべきか判断するにあたっては、少なくとも、訴訟になった場合の帰趨を的確に想定する等の必要がありますが、この点を専門家に頼らず自身だけで対応することには大変な困難を伴います。

その上、対応を誤ってしまうと、裁判を回避できたにもかかわらず、裁判を提起されてしまい、さらに多額の請求をされてしまうリスクが高くなってしまいます。

そのため、不貞慰謝料を請求されてしまった場合、今回紹介したA男さんのように、弁護士を就けて減額交渉することをお勧めいたします。

弁護士に依頼するかどうか悩んでいる場合であっても、少なくとも、現在請求されている不貞慰謝料の金額が相当であるかについての意見は求めるべきです。

優誠法律事務所では、不貞慰謝料や離婚に関する初回相談は1時間無料ですので、お気軽にご連絡ください。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

 市川雅人 弁護士

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務) 
2018年3月 ベリーベスト法律事務所入所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)」