不貞慰謝料減額交渉のポイント|弁護士が解説する減額の方法と成功事例
皆様、こんにちは!
優誠法律事務所です。
今回のテーマは不貞慰謝料です。
不貞慰謝料の請求を受けた場合、多くのケースでその金額を減額することは可能です。
減額交渉においては、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。
今回は、不貞慰謝料の減額に役立つ情報をお伝えした後、実際に減額交渉を成功させた事例を紹介します。
同じような状況に直面している方は、ご参考にしていただけますと幸いです。
不貞慰謝料を減額するために知っておくべき重要なポイント
不貞行為が原因で慰謝料を請求された場合、必ずしも請求通りにその金額を支払わなければならないわけではありません。
慰謝料の減額交渉は可能であり、弁護士の支援を受けることで減額の可能性を高めることができます。
ここでは、減額交渉を成功させるための重要なポイントをご紹介します。
不貞行為の期間や回数
不貞行為が一度きりのものであれば、精神的苦痛の程度も少なく、慰謝料の減額を主張する根拠となります。
また、不貞行為の期間が短い場合や、交際期間に比べて性交渉の回数が少ない場合も、減額交渉を有利に進めるポイントです。
経済的状況
もし、あなたが経済的に困難な状況にある場合、その点を相手方に申し入れたり、証明となる資料を提供することで慰謝料の金額を減額できる可能性があります。
また、支払能力を証明することで、分割払いの提案や分割する金額の見直しを求めることが可能な場合もあります。
婚姻期間の長さ
相手方の婚姻期間が長いほど、精神的な苦痛が大きいと見なされ、高額な慰謝料を請求される可能性があります。
しかし、婚姻期間が短い場合や、別居していた場合など、相手への精神的影響が少ないとされる場合は、減額の余地があります。
不貞が始まった時点で、既に別居していた場合などは、そもそも慰謝料の支払いを拒絶できる可能性もあります。
相手の行動
もし、不貞行為が相手の強引な誘いによるものであった場合、それを証明できる証拠があれば、慰謝料減額の根拠となります。
また、不貞行為が一時的なものであった場合も、減額交渉に有利に働きます。
実際の事例紹介~既婚者女性との不倫~
ここからは、実際に不貞慰謝料の請求を受けた事例をご紹介します。
この事例を通じて、どのように減額交渉を進めたかをご覧いただき、どのような要素が慰謝料の金額に影響を与えるかを理解していただければと思います。
ご相談内容
今回の依頼者A男さんは、地元の女性であるB子さん(既婚者)と不倫をしてしまいました。
その結果、B子さんの旦那さんに不倫が発覚し、旦那さんは弁護士に依頼しました。
その後、A男さんの自宅に内容証明郵便が届き、不倫によって婚姻関係が破綻したことが記載されており、精神的苦痛の慰謝料として300万円を支払うよう求められました。
減額交渉
A男さんのご相談を受けた後、すぐに旦那さんの弁護士に連絡を取りました。その際、以下の3つのポイントを伝えました。
① 旦那さんに対する謝罪
② 請求された不貞慰謝料の金額が不相当であること
具体的には、B子さんとの交際期間は2年という長期間であったものの、その交際期間にはB子さんが独身であった期間も含まれていたことや、交際期間に比べて性交渉の回数が少なかったことなどを指摘しました。
③ 30万円での和解案を提案
これに対し、旦那さんの弁護士からは、「婚姻期間と不貞行為の期間が同じであり、精神的苦痛の程度は甚大である」との反論がありました。
その結果、200万円を一括で支払うよう求められました。
しかし、担当弁護士としては、事案の内容から、仮に裁判になっても100万円以上の慰謝料が認定される可能性は低いと考えられる状態でした。
ただ、A男さんも既婚者であり、Aさんの奥さんは今回の不倫を知らないという事情もあったため、A男さんとしては、仮に裁判で認められる金額より高い金額での和解になったとしても、裁判だけは回避して欲しいとのご希望がありました。
そのため、その後も慎重に減額交渉を続け、最終的150万円を分割で支払うという内容で和解が成立しました。
結果的に、最初に請求を受けた300万円から半額にすることができました。
減額交渉の具体的な進め方
不貞慰謝料の減額交渉を進めるには、いくつかのステップがあります。
それぞれの段階を丁寧に進めることで、交渉をよりスムーズに有利に進めることができます。
以下の流れに従いながら、減額交渉を行うことをお勧めします。
請求内容をしっかり確認する
減額交渉を始める前に、まず最初に行うべきことは、請求内容を詳細に確認することです。
請求額や理由、支払い期限などをしっかりと理解しておくことが、交渉の基盤を作ります。
① 請求内容の確認
まず、相手から届いた内容証明や請求書の内容をしっかり確認しましょう。請求金額が妥当かどうか、支払期限や慰謝料の根拠についても確認することが大切です。相手がどのような理由でその金額を請求しているのかを理解し、不当な請求が含まれていないかをチェックします。
② 必要な証拠を集める
不貞慰謝料の減額交渉において、証拠は非常に重要です。自分の立場を正当化するために、必要な証拠を整理しておきましょう。交際期間や不貞行為の内容に関する証拠、相手とのコミュニケーション記録などが重要な証拠となります。
③ 注意点
請求内容が不当であると感じた場合は、冷静にその根拠を確認し、交渉の準備を行いましょう。専門家の助けを借りることも検討し、無理のない減額交渉を進めていきましょう。
直接交渉を行う方法
減額交渉を進めるにあたって、相手と直接交渉する方法も有効です(相手に弁護士に依頼している場合には弁護士に連絡し、直接の連絡は控えましょう。)。
交渉を開始する前に、どのように進めるかをしっかり整理し、効果的に交渉を行いましょう。
① 相手と直接連絡を取る
まず、相手方に電話やメールで連絡を取り、交渉を始めることが重要です。交渉の場を設け、互いに意見を交換できる環境を作りましょう。直接コミュニケーションを取ることで、相手の態度や反応をリアルに把握できます。
② 交渉時の主張ポイントを明確にする
交渉を行う際には、自分が減額を希望する理由を明確に伝えることが重要です。不貞行為が一度きりだったことや交際期間の短さ、精神的苦痛の軽減など、自分に有利な点を整理し、相手が納得できるように主張しましょう。
③ 電話でのやり取りを記録する
交渉時に電話を使用する場合、話し合った内容や合意事項を記録しておくことが重要です。後で確認できるように、内容をメモに取ったり、録音したりすることをお勧めします。これにより、後々トラブルにならないように証拠として残せます。
減額合意の文書作成について
減額交渉がうまくいき、合意に至った場合、その内容を文書にまとめておくことが重要です。
合意内容を正式な書面にすることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
① 合意内容を文書にまとめる
減額交渉が成功した場合、その内容を正式な文書にして、双方が署名することが重要です。文書化することで、後々の問題を避けることができます。
② 減額の条件を明確にする
合意文書には、減額後の慰謝料の金額だけでなく、支払い方法(分割払いの回数や金額)、支払い期限などの条件も明確に記載しておくことが大切です。このように、全ての条件を明確にすることで、後々誤解が生じないようにします。
③ 書面の保管を忘れずに
合意文書は、後々の証拠となる大切な書類ですので、必ず保管しておきましょう。同じ書面を2通作成して、双方が持ち合うことが普通ですが、1通しか作成しない場合には、必要な場合に備えてコピーを取っておくとよいでしょう。
まとめ
不貞慰謝料を請求された場合、必ずしも請求額をそのまま支払う必要はありません。
減額交渉は可能であり、適切な証拠を準備し、冷静に交渉を進めることで、金額を大幅に減額することができます。
特に、経済的な困難や不貞行為の期間・回数、婚姻期間などの要素が減額に影響を与えます。
もし、不貞慰謝料を請求された場合は、弁護士に相談して適切な対応をとることをお勧めします。
優誠法律事務所では、不貞慰謝料や離婚に関する初回相談は1時間無料で行っていますので、お気軽にご連絡ください。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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投稿者プロフィール

これまで一般民事事件や刑事事件を中心に、数多くの案件を担当して参りました。これらの経験を踏まえ、難しい法律問題について、時には具体例を交えながら、分かりやすい内容の記事を掲載させていただきます。
■経歴
2009年3月 明治大学法学部法律学科卒業
2011年3月 東北大学法科大学院修了
2014年1月 弁護士登録(都内上場企業・都内法律事務所にて勤務)
2018年3月 ベリーベスト法律事務所入所
2022年6月 優誠法律事務所参画
■著書・論文
LIBRA2016年6月号掲載 近時の労働判例「東京地裁平成27年6月2日判決(KPIソリューションズ事件)」