過失割合を修正できた事例~駐車場内の交通事故その1~

2024年5月18日

皆様、こんにちは!

優誠法律事務所です。

今回のテーマは過失割合です。

私たちが実際に解決してきた交通事故の事例から、過失割合について争った事例を具体的にご覧いただこうと思います。

まず、今回は、駐車場内の交通事故での過失割合が問題になった事例をご紹介します。

●そもそも過失割合とは?

●基本過失割合とは?

●弁護士にご依頼いただいた場合の過失割合の争い方

などについて書いていきますので、過失割合でお困りの方はご参考になさってください。

今回の依頼者~駐車場内で車VS車の交通事故~

今回の依頼者Bさんは、大阪府在住で

・交通事故はコンビニの駐車場内

・相手方に過失割合3:7を主張されている

・幸い交通事故による怪我はなし

・弁護士特約が使用可能

という内容でした。

【本件の争点】過失割合

事故現場の駐車場の写真

上の写真が本件の交通事故の現場となった駐車場です(Bさん側から見た写真ですが、撮影したのは事故当日ではありませんので、実際の加害者の車は写っていません。)。

コンビニで買い物を終えたBさんは、自動車を停めていた駐車区画から出て、駐車場内の通路を出口に向かって走行していました。

その際、Bさんが走行していた通路の左側の駐車スペースに停まっていた自動車(前向き駐車。上の写真だと黒色の車が停まっている駐車スペース)が、通路に出ようと急にバックしてきてしまい、Bさんの車の左側(助手席側)後部座席付近に衝突されました。

事故発生状況の図

幸いこの交通事故では双方にお怪我はありませんでしたので、双方の自動車の修理費の賠償のみが問題になりました。

Bさんは、事故の際、通路を徐行していましたが、相手方はBさんが後ろを通過しかかったタイミングで急にバックしてきたため、避けることができませんでした。

相手方は、この事故の過失割合として3(Bさん):7(相手方)を主張していましたが、Bさんとしてはご自身に3割も過失があるとされたことに納得できず、ご自身の自動車保険に弁護士特約を付けていたことから弁護士に依頼して過失割合を争うことにしました。

過失割合とは?

まず、交通事故での過失相殺とはどういうことか説明します。

交通事故では、衝突した方が加害者、衝突された方が被害者となりますが、停車していた車両に後続の車両が追突したというようなケースでない限り、被害者側にも一部過失があるとされることが多いです。

例えば、交差点を直進中に右折してきた車と衝突した場合とか、隣の車線から車線変更してきた車と衝突した場合など、特に双方が動いていた場合には過失割合が0:10とされることはあまりなく、被害者側にも一部過失があったとされることが一般的です。

双方の過失の割合(いわゆる「過失割合」)が決まり、被害者にも何らかの過失があるということになれば、過失相殺として、被害者が受け取ることができる損害賠償から過失の割合に相当する金額が差し引かれます。

これを過失相殺といいます。また、加害者側の損害についても、被害者の過失の割合に相当する金額を加害者に対して支払う必要があります。

基本過失割合とは?

では、被害者側にも一部過失があるとされる場合、どのように双方の過失割合が決まるのかというと、一般的にはそれぞれの交通事故の類型によって、基本過失割合というものが決まっており、この基本過失割合を基にして決めることになります。

典型的な交通事故の場合、過去に同種の裁判例が多数あることから、それらの裁判例や法改正の動向・傾向なども踏まえて、それぞれの事故状況ごとに何%:何%と基本となる過失割合が示されており、この割合のことを基本過失割合といいます。

もちろん、交通事故はそれぞれ個別の事情が異なりますので、基本過失割合で全てが決まる訳ではなく、基本過失割合を基にしてそれぞれの事情に合わせて過失割合を修正します。

この基本過失割合を修正する理由となるものを修正要素といいます。

この基本過失割合や修正要素をまとめた「別冊判例タイムズ」(正しくは、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]別冊判例タイムズ38号」判例タイムズ社)という書籍があり、弁護士や保険会社の担当者などは、この書籍を使って過失割合の交渉をしています。

弁護士の過失割合の争い方

弁護士が交通事故の過失割合を争う場合、まずは依頼者から事故状況について詳しくお聞きして、基本過失割合が何%:何%になるのか、基本過失割合から修正できそうな修正要素はないかなどを検討します。

また、双方の車両の写真や実況見分調書などの交通事故の状況が客観的にわかる資料を確認し、ドライブレコーダーの映像などが手に入ればその映像なども確認して、過失割合について主張できそうなことがないか検討します。

さらに、駐車場内の交通事故などでは典型事例ばかりではありませんので、類似の事例の裁判例を探して有利な主張ができないか検討することもあります。

交通事故が起こると、警察による実況見分が行われ、事故現場の状況や、加害者・被害者・目撃者の証言など基に、実況見分調書が作成されます。

この実況見分調書には、加害者・被害者がそれぞれ相手方を発見した位置、危険を感じた位置、ブレーキをかけた位置、衝突した位置などが記録され、その位置関係(距離)なども記載されます。

例えば、相手を発見した位置、危険を感じた位置、ブレーキをかけた位置、衝突した位置が全て同じ地点として記録されていることがありますが、この場合は衝突するまで相手の存在に気が付いていなかった(よそ見などしていた)ということになり、前方不注視が著しいことを修正要素として主張します。

このように、実況見分調書はとても重要な記録となりますので、事故後に行われる実況見分の際には、適当な受け答えをしないよう十分に気をつけてください。

Bさんの裁判の結果~過失割合2:8で解決~

 私たちは、Bさんからのご依頼を受けて、まず基本過失割合を確認しましたが、別冊判例タイムズの335図(駐車場の通路を走行している車両と駐車スペースから出てきた車両の事故)によって、相手方の主張する3:7が基本過失割合となる事故と思われました。

判例タイムズ335図
判例タイムズ335図
基本過失割合は30(A):70(B)

 しかし、Bさんの車両の損傷部位は後部座席から後ろで、しかも至近距離で衝突しているにもかかわらず、Bさんの車両は修理費に50万円以上かかるほど大きく損傷していました。

そのような被害状況から、相手方は、Bさんが後ろを通り過ぎようとしたタイミングで、後ろを全く確認せずにアクセルを踏み込んで急発進した可能性が高く、Bさんによると、交通事故直後「急いでいて後ろを見ていなかった」と説明していたとのことでした(相手方はそのような発言をしたこと自体否定していましたが)。

 Bさんとしては、相手方の横を通り過ぎようとしたくらいのタイミングで衝突されており、衝突を避けることは難しかったので、私たちは3:7の基本過失割合から修正する必要があると主張しました。

しかし、相手方保険会社は認めず、3:7にこだわりましたので、交渉では話がまとまりませんでした。

その結果、私たちは裁判を起こして、裁判上で過失割合の主張をしたところ、裁判官も相手方に著しい過失があると認定し、基本過失割合から10%修正した2:8での和解が成立しました。

まとめ

今回のBさんの場合、相手方保険会社は弁護士が交渉しても過失割合を譲らなかったくらいですので、弁護士に依頼しなければご自身だけで納得の行く示談はできませんでした。

結局、弁護士依頼後も交渉が決裂して裁判での解決になってしまいましたが、納得の行く内容での解決ができてお喜びいただきました。

Bさんのように、お怪我がなく物損被害だけの場合、弁護士にご依頼いただくと費用倒れになってしまうことが多いのが実情ですが、弁護士費用特約が適用になる方は、弁護士費用の負担なくご依頼いただけますので、弁護士に依頼することにメリットがあります。

納得の行かない過失割合を了承してしまう前に、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。

私たちの優誠法律事務所では、交通事故のご相談は無料です。

全国各地からご相談いただいております!お気軽にご相談ください。

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投稿者プロフィール

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 甘利禎康 弁護士

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本(出版社:日本実業出版社)