後遺障害等級が認定されなかった事例~左肩腱板損傷~

2023年7月23日

皆様、こんにちは!

優誠法律事務所です。

今回ご紹介するのは、左肩腱板損傷による肩関節の可動域制限が残ってしまった依頼者が、後遺障害の申請をしたものの、「非該当」になってしまった事例です。

●後遺障害申請の方法

●後遺障害等級が認定された場合に請求できる費目である「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」

については、以前ご紹介した後遺障害等級14級9号が認定された事例の記事で解説していますので、そちら「弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~頚椎捻挫・後遺障害14級9号・専業主婦~」もご覧ください。

これまでは、私たちにご依頼いただいたことで示談金が増額したり、過失割合が有利に修正できた成功事例をご紹介してきましたが、残念ながら狙ったような結果にならない場合もあります。

一般的に、法律事務所のHP等では、うまく行かなかった事例をご紹介することはほとんどないと思います。

しかし、うまく行かなかった事例から参考になることも多いので、あえて今回は思うような結果にならなかった事例をご紹介します。

今回の依頼者~個人事業主・後遺障害非該当の事案~

今回の依頼者Kさんは、東京都在住で

・小売業の個人事業主

・車と車の事故で過失割合1:9

・事故による怪我は左肩腱板損傷等

・治療期間(症状固定までの期間)は約6か月間

・症状固定後も左肩肩関節の可動域制限と痛みが残存

・弁護士費用特約はなし

・後遺障害の申請を相手方保険会社の事前認定で申請したところ「非該当」の認定を受けた

という内容でした。

自動車を運転していたKさんは、直線道路を走行中、道路右側の店舗の駐車場から無理に出てきた加害者の自動車に衝突されてしまい、左肩腱板損傷等の怪我を負いました。

Kさんによると、右手だけでハンドルを持って運転していて、加害者に運転席のドア付近に衝突されたときに咄嗟に左手をダッシュボードに突いて身体を支えたことで左肩を痛めてしまったということでした。

その後、Kさんは約6ヶ月間治療を続けましたが、相手方保険会社に治療費の打切りの打診を受け、主治医に相談したところ、症状固定にして後遺障害申請をした方がいいと言われて、事前認定で後遺障害申請をしました。

ご相談内容~腱板損傷の後遺障害認定~

症状固定後、Kさんは、左肩の可動域制限と痛みが残っていたことから、主治医に後遺障害診断書を作成してもらい、相手方保険会社の「事前認定」で後遺障害申請をしましたが、「非該当」の認定を受けました。

Kさんは、左腕が肩より上に上がらず、肩関節の可動域が正常値の半分以下になってしまっており、左肩に強い痛みも残っているにもかかわらず、後遺障害が非該当の認定となり、強い不満を感じたことで、私たちに相談されるに至りました。

 【本件の争点】後遺障害

後遺障害の異議申立て

 後遺障害の認定結果に不満がある場合には、「異議申立て」を行うことができます。なお、後遺障害の申請の手続きについては、以前の記事でも解説していますので、そちら「弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~頚椎捻挫・後遺障害14級9号・専業主婦~」もご覧ください。

 今回のKさんの場合、交通事故直後から左腕が上がらず、左肩の痛みも強いことを主治医に訴えていたため、主治医も交通事故直後から左肩腱板損傷という診断をして、その治療をしてきました。しかし、しばらくMRIを撮影しておらず、交通事故から5ヶ月近く経った後で、MRI撮影を行い、画像上も腱板損傷があることが確認されました。

私たちは、自賠責保険がKさんの事前認定で非該当の判断をしたのは、おそらく左肩のMRI撮影が交通事故から5ヶ月も経過した後のことだったため、MRI画像の腱板損傷の所見と交通事故との因果関係が不明と判断されたのではないかと考えました。

つまり、交通事故直後にMRIが撮影されていて腱板損傷が確認できていれば、交通事故による怪我と判断できますが、数か月経過した後の撮影の場合、交通事故より前に損傷していたということも考えられるし、交通事故より後に別の理由で損傷したということも否定できないと考えられたのではないかということです。

そこで、私たちは、主治医に交通事故直後のKさんの左肩の状況を医療照会書に記載してもらい、事故直後の症状などが分かるようカルテも開示してもらって異議申立ての際に提出することにしました。

加えて、この交通事故が自動車同士の接触事故でしたので、左肩の腱板が損傷するような交通事故ではないと判断された可能性もあると考え、Kさんから聞き取った左肩の受傷状況も詳しく異議申立書に記載して、被害者請求で異議申立てを行いました。

Kさんの異議申立ての結果~非該当~

上でご説明したように、私たちはKさんの左肩腱板損傷が交通事故によるものだということを強く主張して異議申立てを行いました。

しかし、自賠責保険は交通事故と左肩腱板損傷の因果関係を認めず、左肩腱板損傷後の左肩関節可動域と左肩痛について、いずれも後遺障害非該当の判断を変更しませんでした。

Kさんは、この異議申立ての結果にも納得できませんでしたので、「自賠責保険・共済紛争処理機構」に紛争処理の申立てを行いました。

自賠責保険へ初回の後遺障害申請を「事前認定」か「被害者請求」で行い、その結果に不満がある場合には「異議申立て」ができますが、この異議申立てに回数制限はありませんので、何度でも異議申立てをすることはできます。

しかし、同じ内容で何度も異議申立てを行っても、結果が変わる期待はできません。そこで、異議申立てでも結果が変わらず、それに不満がある場合には、「自賠責保険・共済紛争処理機構」に紛争処理の申立てを行い、自賠責保険の判断が妥当かどうかを審査してもらうことができます。なお、この紛争処理の申立ては1回だけしかできません。

Kさんは、この紛争処理の申立てを行いましたが、残念ながらここでも非該当の判断は変わりませんでした。

Kさんの結果~後遺障害非該当で示談~

残念ながら、Kさんは、自賠責保険・共済紛争処理機構でも後遺障害が認定されませんでしたので、後遺障害が非該当で相手方保険会社と示談しました。

そのため、後遺障害慰謝料や逸失利益は請求できず、通院慰謝料や休業損害等の請求のみで、約300万円での示談となりました。

 後遺障害非該当の事例としては高額な示談となりましたが、これは、Kさんが個人事業主で収入が高く、休業損害が高額になったことと、通院慰謝料もほぼ裁判所基準満額を獲得できたためでした。

まとめ

今回のKさんの場合、残念ながら私たちにご依頼いただいて異議申立てなどを行ったものの、後遺障害等級は認定されませんでした。

私たちが実際に面談したKさんは、左腕が肩より上に上がらず、とても痛そうにしていましたので、私たちも後遺障害非該当となり大変悔しい思いをしました。

後遺障害が認定されなかったのは、交通事故直後にMRI撮影をしていなかったために、左肩腱板損傷が交通事故によるものと判断してもらえなかったことが大きな原因だと考えられます。

私たちとお付き合いのある整形外科の先生に意見を聞いたところ、Kさんの場合は年齢的にも五十肩の症状とも考えられ、交通事故と因果関係があると判断されなかったのではないかとのことでした。

もし、Kさんが交通事故直後に私たちにご相談いただいていれば、早急にMRI撮影をするようアドバイスすることができ、交通事故との因果関係を主張できたかもしれません。

私たちは、交通事故被害者の方にはなるべく早い段階でご相談されることをお勧めしていますが、それはKさんのように交通事故から時間が経過してしまうと取り返しがつかない状況になる方もいるためです。

私たちの優誠法律事務所では、交通事故のご相談は無料ですので、是非お気軽に、そして早めにご相談ください。

全国各地からご相談いただいております。

☎0120-570-670

私たちにご依頼いただいたことで後遺障害等級が認定された事例もご紹介しておりますので、よろしければそちらもご覧ください。

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異議申立てで後遺障害が認定された事例~頚椎捻挫・後遺障害14級9号~

また、交通事故被害者のための専門サイトも開設しており、こちらでは異議申立てで後遺障害等級が認定された事例をご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

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投稿者プロフィール

 甘利禎康 弁護士

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本(出版社:日本実業出版社)