弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~頚椎捻挫・後遺障害14級9号・専業主婦~

2024年3月3日

皆様、こんにちは!

優誠法律事務所です。

今回は、私たちの事務所にご依頼いただいたことで示談金が増額した交通事故の事例をご紹介します。

今回ご紹介するのは専業主婦の事例ですが、以前ご紹介した兼業主婦の方の事例(弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~兼業主婦~)で

●主婦(家事従事者)の休業損害に関して弁護士に依頼することによってどのようなメリットがあるか?

●通院慰謝料に関して弁護士に依頼することによってどのようなメリットがあるか?

について解説していますので、そちらもご覧ください。

また、今回は、後遺障害等級14級9号が認定された事例でしたので、

●後遺障害申請の方法

●後遺障害等級が認定された場合に請求できる費目である「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」

についても解説します。

今回の依頼者~頚椎捻挫の専業主婦の事案~

今回の依頼者Gさんは、北海道在住で

・専業主婦

・車VS車の追突事故で過失割合は0:100

・事故による怪我は頚椎捻挫

・治療期間(症状固定までの期間)は約6か月間

・症状固定後も首の痛みが残存

・相手方保険会社から66万円の示談提示を受けている

・弁護士費用特約が使用可能

という内容でした。

Gさんは、自動車を運転して青信号で十字路交差点を直進中に、信号無視でGさんから見て左側の道路から交差点に進入してきた加害者の自動車に衝突されてしまい、頚椎捻挫の怪我を負いました(過失割合は0:100です。)。

Gさんは、その後、約6ヶ月間に渡って治療しましたが、相手方保険会社から治療費の打切りを予告され、それを主治医に話したところ、症状固定にすると言われてしまいました。

ご相談内容~主婦の休業損害・後遺障害~

Gさんは、相手方保険会社から治療費の打切りを言われたときに、まだ首の痛みが残っているから治療を続けたいと伝えたところ、治療をやめて後遺障害の申請をするよう説明されました。しかし、保険会社からは後遺障害診断書の書式などは送られて来ず、示談金の提示だけが届きました。

 もともと、Gさんはご自身の自動車保険に弁護士費用特約を付けていたことから、治療が終わったら弁護士に依頼したいと考えていましたが、北海道の道東地方在住で近くに弁護士事務所がなく、インターネットで私たちの事務所を見つけてご相談いただきました。 このとき、相手方保険会社からは、示談金として約66万円が提示されていましたが、その内訳は通院慰謝料と交通費などで主婦の休業損害は提示されていませんでした。

 【本件の争点】後遺障害、主婦の休業損害、慰謝料

後遺障害申請の方法

 私たちは、まず、主治医の先生に後遺障害診断書を作成してもらい、被害者請求で後遺障害申請をしました。

 後遺障害申請の方法には、このように被害者ご自身や依頼する弁護士が申請する「被害者請求」と相手方保険会社に任せる「事前認定」の2つの方法があります。

事前認定の場合、相手方保険会社の担当者は、必要最低限の書類を集めて提出するだけで、後遺障害等級が取れるように尽力してくれるということはほとんどないと思った方がよいでしょう。

後遺障害が認定されると、後でご説明するように示談金がかなり増額され、相手方保険会社の支払金額が増えますから、当然と言えば当然とも言えます。

 一方、被害者請求の場合、特に制限はありませんので、等級が認定されるために有利になると思われる資料を揃えて提出します。

そのため、被害者請求でしっかり資料を揃えて提出した方が事前認定よりは後遺障害が認定される可能性が高まると考えられます。

私たちは、この事故でGさんが受けた衝撃の強さを伝えるために、大きく損傷した被害車両の写真や修理見積などの資料や、Gさんご自身に首の痛みの症状やその痛みによる日常生活での支障などを詳しくまとめてもらった陳述書などを提出しました。

その結果、Gさんの頚椎捻挫後の首の痛みについて、14級9号の等級が認定されました。

後遺障害慰謝料・逸失利益

後遺障害等級が認定された場合、その後遺障害に対する損害も相手方に請求することができます。

具体的には、

・後遺障害慰謝料

・逸失利益

の2つです。

①後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、その名のとおり、後遺障害を負ったことに対する慰謝料です。入院・通院させられたことに対する入通院慰謝料(傷害慰謝料ともいいます)とは別に、後遺障害等級に応じて請求することができます。

第1級第2級第3級第4級第5級第6級第7級
2800万円2370万円1990万円1670万円1400万円1180万円1000万円
第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
830万円690万円550万円420万円290万円180万円110万円

Gさんの場合は、14級ですので裁判所基準だと110万円を請求できます。

②逸失利益

逸失利益は、簡単に言うと、将来の減収を補償するものです。

後遺障害が残った場合、後遺障害によって労働能力の一部を失ったとされますので、その分収入が減ることが想定されます。

ただ、ここで請求できるのは、実際に減収した金額ではなく、下の表のように認定された後遺障害等級に応じて決められた「喪失率」で計算した金額を請求します。

第1級第2級第3級第4級第5級第6級第7級
100%100%100%92%79%67%56%
第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
45%35%27%20%14%9%5%

また、逸失利益は、基本的に67歳までの年数(年齢によって、平均余命の半分の方が長くなる場合には平均余命の半分の年数)で計算しますが、本来67歳まで何年間もかけて得るものを一括で請求しますので、中間利息を引く必要があり、実際には67歳までの年数ではなく、その年数に応じた「ライプニッツ係数」で計算します。

なお、14級9号の場合は、神経症状による後遺障害なので、その他の後遺障害と比べて早期に後遺障害の影響が改善すると考えられており、一般的には67歳までではなく5年間に限定されることが多いです。

Gさんは専業主婦ですので、実収入ではなく、女性の平均賃金を基にして逸失利益を計算します。

まとめると、Gさんの逸失利益は以下のように計算されます。

女性の平均賃金×5%(14級)×5年間のライプニッツ係数

=388万円×5%×4.3295

=83万9923円

※平均賃金は毎年変動します。上記はGさんの事故の前年の平均賃金です。また、民法改正によってライプニッツ係数も変動しており、令和2年4月以降の事故の場合は5年のライプニッツ係数は4.5797になります。

以上のように、Gさんの場合、14級9号の後遺障害が認定されたことで、後遺障害慰謝料110万円と逸失利益83万9923円の約194万円が増額となりました。

Gさんの交渉結果~主婦の休業損害・慰謝料も増額~

Gさんが相手方保険会社から提示されていた示談金は約66万円でした。

Gさんは専業主婦でしたが、事故直前まで非常勤で働いていたため、相手方保険会社の担当者は主婦(家事従事者)の休業損害を提示していませんでした。

しかし、事故発生のときには仕事を辞めていたため、私たちは専業主婦として主婦の休業損害を請求しました。主婦(家事従事者)の休業損害については、別の記事で解説していますので、そちら(「弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~兼業主婦~」)もご覧ください。

また、通院慰謝料についても保険会社基準の金額の提示でしたので、裁判所基準まで増額するよう交渉しました。

その結果、最終的には、相手方保険会社は後遺障害慰謝料・逸失利益・通院慰謝料をそれぞれ請求とおり、裁判所基準で認め、主婦の休業損害についても約106万円を認めさせることができました。

最終的にGさんは示談金額として約400万円の支払いを受けることができました。

まとめ

今回のGさんの場合、私たちにご依頼いただいたことで、後遺障害等級が認定され、主婦の休業損害も受け取ることができ、ご依頼前の提示から示談金が6倍以上になりました。

このように、後遺障害が認定されると、示談金は大幅に増額します。保険会社に治療費を打ち切ると言われて、よく分からないまま示談してしまう方も多いようですが、一度示談してしまうとやり直すことができません。

もちろん、後遺障害が認定されない場合でも、通院慰謝料などは弁護士にご依頼いただくことで増額できる可能性が高いですから、ぜひ示談前に一度弁護士に相談してみてください。

私たちの優誠法律事務所では、交通事故のご相談は無料です。

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また、交通事故被害者のための専門サイトも開設していますので、そちらもぜひご覧ください。

https://yusei-jikolaw.com/

投稿者弁護士甘利禎康の情報