弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~右肩腱板損傷・異議申立て・後遺障害12級13号~

2024年3月3日

皆様、こんにちは!

優誠法律事務所です。

今回も、私たちの事務所にご依頼いただいたことで示談金が増額した交通事故の事例をご紹介します。

今回ご紹介するのは、後遺障害の異議申立てで「非該当」から「併合12級」が認定された事例ですが、前回ご紹介した後遺障害等級14級9号が認定された事例(弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~後遺障害14級9号・専業主婦~)で、

●後遺障害申請の方法

●後遺障害等級が認定された場合に請求できる費目である「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」

について解説していますので、そちらもご覧ください。

交通事故による怪我の症状が残っているのに後遺障害が認定されなかったということでお困りの方の参考になれば幸いです。

今回の依頼者~会社員・後遺障害非該当の事案~

今回の依頼者Hさんは、愛媛県在住で

・会社員

・バイクと車の事故で過失割合1:9

・事故による怪我は頚椎捻挫、腰椎捻挫、右肩腱板損傷、右手親指MP関節捻挫等

・治療期間(症状固定までの期間)は約6か月間

・症状固定後も右肩などに痛みが残存

・後遺障害の申請を相手方保険会社の事前認定で申請したところ、全ての症状について「非該当」の認定を受けた

・相手方保険会社から60万円の示談提示を受けている

・弁護士費用特約が使用できる

という内容でした。

バイクを運転していたHさんは、交差点を直進しようとした際、並走していた加害者の自動車が交差点を左折しようとして巻き込まれてしまい、身体を地面に強く叩きつけられて、頚椎捻挫、腰椎捻挫、右肩腱板損傷、右手親指MP関節捻挫等の怪我を負いました。

その後、Hさんは約6ヶ月間治療を続けましたが、相手方保険会社に治療費の打切りを通告され、主治医もこれに合わせて症状固定の診断をしました。

ご相談内容~後遺障害認定・慰謝料~

治療終了後、Hさんは、主治医に後遺障害診断書を作成してもらい、相手方保険会社の「事前認定」で後遺障害申請をしたところ、頚椎、腰椎、右肩、右手親指の全ての症状について「非該当」の認定を受けました。

そして、相手方保険会社から後遺障害非該当を前提に約60万円の示談提示を受けました。

Hさんは、相手方保険会社から治療費の打切りを通告された際、各受傷部位に痛みが残存しており、主治医も治療を継続した方がいいと言っていることも伝えましたが、それでも相手方保険会社の担当者が強引に治療費を打ち切ったことに不満がありました。

その上、特に右肩と右手親指には強い痛みが残っているにもかかわらず、後遺障害が非該当の認定となり、慰謝料約60万円という提示にも不満を感じたことで、弁護士に相談されるに至りました。

 【本件の争点】後遺障害、慰謝料

後遺障害の異議申立て

 後遺障害の申請方法は、相手方保険会社に任せる「事前認定」と被害者側で申請する「被害者請求」の2通りがありますが(後遺障害の申請の手続きについては、前回の記事でも解説していますので、そちら「弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~後遺障害14級9号・専業主婦~」もご覧ください。)、いずれの場合も認定結果に不満がある場合には、「異議申立て」を行うことができます。

 ただ、異議申立てが認められて後遺障害等級が認定されたり変更される事例は少なく、異議申立て全体の1割程度というのが現実です(ちなみに、私たちが過去に異議申立てを行った事例では約5割程度の確率で認定内容を変更できています。)。

今回のHさんの場合、事前認定で頚椎、腰椎、右肩、右手親指の4部位について全て非該当という認定でしたが、それぞれ症状が残っており、特に右肩の痛みを強く訴えていました。そして、右肩については、主治医がMRIの画像から「腱板損傷」の診断をしていましたので(事前認定では、自賠責保険が腱板損傷はないと判断していました。)、主治医に画像上で損傷部位を指摘してもらい、右肩の主張を中心に被害者請求で異議申立てを行うことにしました。

Hさんの異議申立ての結果~併合12級が認定~

上でご説明したように、私たちが異議申立てにおいてHさんの右肩腱板損傷による右肩の痛みについて主張したところ、自賠責保険もMRI画像を再確認して腱板損傷の所見を認めました。そして、腱板損傷後の右肩痛について、後遺障害12級13号が認定されました。

また、右手親指MP関節の疼痛についても14級9号が認定され、全体として併合12級が認定されました(複数の後遺障害が認定されると「併合」となり、13級以上の等級が複数の場合は一番上位の級より一つ上の級に繰り上がりますが、14級の場合は繰り上がりません。)。

このように後遺障害が認定されたことによって、Hさんは、後遺障害慰謝料・逸失利益の請求も可能になりました。

Hさんの交渉結果~逸失利益・慰謝料も増額~

Hさんは、異議申立ての結果、併合12級が認定されましたので、相手方保険会社に対して、通院慰謝料などに加えて、後遺障害慰謝料と逸失利益も請求しました(後遺障害が認定された場合に請求できる後遺障害慰謝料・逸失利益については、前回の記事で解説していますので、そちら「弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~後遺障害14級9号・専業主婦~」もご覧ください。)。

ただ、基本的に逸失利益は症状固定時の年齢から67歳までの年数(年齢によって、平均余命の半分の方が長くなる場合には平均余命の半分の年数)で計算しますが、12級13号の場合は、神経症状による後遺障害なので、その他の後遺障害と比べて早期に後遺障害の影響が改善すると考えられており、67歳までではなく10年間に限定されると反論されることが多いです。

案の定、今回も相手方保険会社は逸失利益を10年間に限定するよう反論してきました。しかし、Hさんは右肩痛の12級13号だけでなく右手親指MP関節痛の14級9号も認定されていて後遺障害の影響が大きいことや、12級13号でも11年目以降の逸失利益が認定されている裁判例もあることなどを主張して交渉しました。

その結果、12級の喪失率の(事故前年の年収の)14%は最初の10年に限定されたものの、それ以降67歳までは半分の7%の逸失利益を獲得することができ、通院慰謝料・後遺障害慰謝料も裁判所基準満額を獲得できました。

もともとHさんが私たちにご相談いただく前に相手方保険会社から提示されていた示談金は約60万円でしたが、最終的には約1000万円で示談が成立しました。

まとめ

今回のHさんの場合、私たちのご依頼いただいたことで、異議申立てで後遺障害等級が認定され、逸失利益も67歳まで獲得できたことで、ご依頼前の提示から示談金が16倍以上になりました。

このように、後遺障害が認定されると示談金は大幅に増額します。保険会社に治療費を打ち切ると言われ、その後も事前認定でよく分からないまま後遺障害認定を受けて、後遺障害等級に納得できなくてもそのまま示談してしまう方も多いと思いますが、一度示談してしまうとやり直すことができません。

逆に、後遺障害は一度認定を受けても不満であれば異議申立てが可能です。

また、後遺障害が認定されない場合であっても、通院慰謝料などは弁護士にご依頼いただくことで増額できる可能性が高いです。示談前にぜひ一度弁護士に相談してみてください。

もちろん、ご相談のみでも結構です。

私たちの優誠法律事務所では、交通事故のご相談は無料ですのでお気軽にご相談ください(全国各地からご依頼いただいております)。

☎0120-570-670

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他にも弁護士にご依頼いただいたことで示談金が増額した交通事故事例をご紹介しておりますので、よろしければそちらもご覧ください。

弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~兼業主婦~

弁護士に依頼することで示談金が増額した事例~頚椎捻挫・後遺障害14級9号・専業主婦~

また、交通事故被害者のための専門サイトも開設しており、こちらでは異議申立てで後遺障害等級が認定された他の事例もご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

優誠法律事務所交通事故専門サイトへのリンク

【速報】後遺障害等級認定事例(1)~頚椎捻挫~

【速報】後遺障害等級認定事例(2)~右肩腱板損傷~

【速報】後遺障害等級認定事例(3)非接触事故~頚椎捻挫・腰椎捻挫~

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投稿者プロフィール

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 甘利禎康 弁護士

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
長年交通事故案件に関わっており、多くの方からご依頼いただいてきましたので、その経験から皆様のお役に立つ情報を発信していきます。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本(出版社:日本実業出版社)