同居したまま離婚・不貞慰謝料の協議を成立させることができた事例

2024年10月4日

こんにちは、代々木駅徒歩3分・新宿駅徒歩10分の優誠法律事務所です。

今回は、夫の不貞を疑い出した段階からご相談いただき、最終的に同居したまま夫と不貞相手への不貞慰謝料と離婚についての協議をまとめることができた事例をご紹介いたします。

まあ、今回の事案は、いわゆるダブル不倫の事案でしたが、不貞相手への慰謝料請求の方法についても色々と検討して慎重に交渉を進め、依頼者の方が納得できる金額を獲得することができました。

今回の事案は、配偶者の不貞行為を疑っていて、不貞慰謝料や離婚の協議をしたいけど、どうやって進めて行けばよいか悩んでいるという方には、参考になると思われますので、ぜひご覧いただければと思います。

事案の概要~夫の不貞疑惑で離婚を決意~

今回のご相談者A子さん(妻)は、ご結婚後、ご主人B男さんと円満に暮らしていました。

ところが、友人から、B男さんと似ている人物が別の女性といるところを見たという話を聞き、B男さんの不貞を疑うようになりました。

そうしたところ、B男さんのカバンから二人分の映画のチケットが出て来るなどしたため、ますます疑いを強めたところで当事務所にご相談にいらっしゃいました。

初回相談の時点で、A子さんとしては、ご主人B男さんの不貞を確信して離婚まで決意しておられましたが、客観的に他の女性との肉体関係を立証できる証拠まではないという状況でした。

この段階で協議(交渉)に入った場合、B男さんの意向次第で離婚は認められるかもしれませんが、不貞慰謝料については否認される可能性が高いと思われました。

もちろん、この段階で協議を開始するケースもありますが、A子さんとしては不貞慰謝料に強いこだわりがありましたので、初回相談の段階では、すぐにB男さんとの協議は始めないこととして、一旦、証拠収集について助言させていただきました。

なお、不貞の証拠収集については以下の記事を参考にしていただければ幸いです。

不倫かも…証拠の種類について解説!

不倫の証拠集めで注意すべきポイントを解説!

不貞行為の証拠を収集

初回相談の後、B男さんのカバンから女性の手紙が発見されました。

しかも、その女性(C美さん)はA子さんも知っている人で、既婚者でした。

また、B男さんのカバンからは、ラブホテル利用時のクレジット明細も発見されました。

この段階に至り、B男さんの不貞は確実ということで、B男さんに対する離婚と慰謝料請求、不貞相手の女性に対する慰謝料請求について当事務所にご依頼いただくことになりました。

なお、今回は不貞相手の女性がA子さんの知っている方でしたので問題になりませんでしたが、不貞相手が知らない人の場合は、相手方に連絡する術を確保する、具体的には氏名や住所、電話番号等を把握する必要があります。

その点についても、上記の記事をご参照いただければと思います。

夫と不貞相手への請求の進め方

夫B男さんと交渉

今回のA子さんの事案では、夫B男さんと不貞相手C美さんに対して請求と交渉を行っていくことになりますが、まずはどのように進めるかという点が問題になります。

A子さんとB男さんは同居していますので、考えなしに書面を出して交渉を開始すると、A子さんの当面の生活が混乱してしまうことになります。

(このあたりは離婚に特有の問題のように思います。)

そうなってしまっては、日常生活で困るのはもちろんですが、交渉も粘り強く行うことが難しくなるため、解決内容もこちらに不利になりかねません。

したがって、きちんと生活できる環境を整えつつ、交渉や調停を行うことが大切になってきます。

進め方として最も簡明なのが、A子さんが自宅を出る形で別居を開始し、その上で離婚と婚姻費用、不貞慰謝料の請求を行うという方法です。

この場合、A子さんの別居開始直後に協議申し入れの書面が届くようにする、あるいは別居開始直後に調停を申し立てるということになります。

この方法は、お互いの生活を分けた上で交渉や調停ができるので最も多く利用されていると思いますが、他方で、一時的でも別居先を確保できなければ交渉や調停を開始できる時期が遅くなってしまいます。

本件のA子さんも、別居先を直ちに確保するのが難しい状況でした。

また、まずは調停等の裁判所を通じた手続きではなく、任意の協議での解決を模索したいとのお考えがありました。

他方で、自宅の部屋数にはある程度余裕があり、取り決めがあれば引っ越しをしなくてもB男さんと極力顔を合わせずに生活することが可能でした。

したがって、今回は、別居を先行させずに、B男さんに対し離婚と慰謝料を請求する旨と今後の自宅内の生活範囲(基本的に過ごす部屋の指定)、共用部の利用時間(浴室の利用時間等)などを記載した書面を発送する形で協議を開始しました。

不貞相手C美さんとの交渉

A子さんはC美さんの住所も電話番号もご存じでしたので、C美さんに対してもB男さんと同様、通知書を郵送して交渉を開始するという方法をとることもあり得ました。

しかし、C美さんは既婚者であり、ダブル不倫の状態でしたので、こちらから通知書を郵送することで、C美さんのご主人に不貞が知られる可能性があります。

A子さんとしては、C美さんのご主人にB男さんとの不貞が知られてもどうということはないのですが、C美さんのご主人もB男さんとC美さんに不貞慰謝料を請求した場合、B男さんとC美さんの支払能力の関係から、A子さんの取り分が少なくなってしまう可能性がありました。

したがって、C美さんとは、ご主人に知られる可能性を少しでも減らすために、電話とメールで交渉を行いました。

交渉経緯・解決内容~交渉で離婚成立・不貞慰謝料400万円を獲得~

B男さんとC美さんは、不貞について交渉当初はすんなりとは認めませんでした。

そこで、こちらからは、A子さんに収集いただいた証拠があること、それでも不貞を認めないのであれば別居を開始して婚姻費用の請求を行うこと、B男さんが離婚訴訟を提起したとしても有責配偶者の主張を行う予定であること等を主張したところ、不貞について認めるに至りました。

慰謝料金額については、支払能力との関係で数か月の分割となってしまいましたが、B男さんとC美さんから、総額で400万円の支払いを受ける形で解決することができました。

また、B男さんとは、離婚に伴う財産分与についても取り決めを行いました。

交渉の最後には合意書を作成することになりますが、C美さんとは郵便局の局止めを使って、自宅に郵送しない形で合意書を作成しました。

(そのほか、署名押印のために事務所に来ていただくという方法もあります。)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

離婚問題については、解決内容もさることながら、どのように物事を進めるか、という点も重要です。

今回のA子さんの場合は、早期にご相談いただいたため、証拠収集についてのアドバイスや進め方についてのご相談に乗らせていただくことができ、結果としてスムーズに解決することができました。

早期に弁護士にご相談いただくことで今後の筋道をつけることも可能になりますので、離婚や不貞慰謝料請求を検討されている方は、早めに弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

優誠法律事務所では離婚の初回相談は1時間無料ですので、お気軽にご連絡ください。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

弁護士栗田道匡の写真
 栗田道匡 弁護士

2011年12月に弁護士登録後、都内大手法律事務所に勤務し、横浜支店長等を経て優誠法律事務所参画。
離婚や不倫に関するトラブルを多く担当してきましたので、皆様のお力になれるように、少しでもお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。
■経歴
2008年3月 上智大学法学部卒業
2010年3月 上智大学法科大学院修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (共著、出版社:日本実業出版社)