3つの借金整理方法のメリット・デメリットを解説!

2024年3月28日

皆さま、こんにちは。

優誠法律事務所です。

今回のテーマは債務整理です!

前回の債務整理の記事で、任意整理、個人再生、自己破産の3つの債務整理方法を説明しましたが、この3つの債務整理方法の中でどの方法で債務整理をしたらよいかを検討するにあたっては、それぞれのメリット・デメリットを把握する必要があります。

そこで、今回は、

●任意整理、個人再生、自己破産のそれぞれのメリット・デメリット

について説明します。

借金の整理を考えている方の参考になれば幸いです。

任意整理のメリット・デメリット

まず、任意整理のメリット・デメリットについてご説明します。

①任意整理のメリット

任意整理のメリットは、

・毎月の弁済額を減額してもらえる

・将来利息や遅延損害金を免除してもらえる

ことにあります。

ただし、金融業者側には法的にこのような債務者側の希望に応じる義務はありません。そのため、分割和解の条件は各金融業者との交渉次第になりますから、それぞれの金融業者の方針等によって分割回数や遅延損害金の免除の有無などの条件が異なることがあります。場合によっては、分割和解に応じてもらえない場合もあります。

また、債務整理する金融業者との取引期間に利息制限法の上限利率以上の利率で取引していた期間があれば、その期間の過払い金によって残高を減額させることができます。場合によっては、過払い金の計算(引き直し計算)で債務が全部なくなり、逆に金融業者に対して過払い金の支払いを請求できることもあります。

なお、任意整理は、裁判所を通さないで各金融業者と直接交渉をするだけですので、第三者に知られる心配がありません。この点もメリットと言えるかもしれません。

②任意整理のデメリット

任意整理のデメリットは、

・信用機関に一定期間事故情報が登録される点

・弁護士等の費用がかかる点

があります。

信用機関に任意整理の情報が登録されると、一定期間は新たな借入れ等の審査が通りにくくなります。金融業者は、新たな借入れ等の申込みを受けると、審査をした上で貸付をするか否かを判断しますが、その審査の際に信用情報を確認します。そのため、借入れの申込みをした人が任意整理をしていると、審査の時点で金融業者に認識されてしまいます。そして、金融業者としては、借金の整理をしている状態の人(=返済に不安がある人)には貸付を行うことはできないと判断することが多いため、審査が通りにくいという訳です。

また、弁護士に依頼した場合には弁護士費用が必要ですが、任意整理の結果、有利な条件で分割和解ができれば費用以上の効果が得られます。

個人再生のメリット・デメリット

次に、個人再生のメリット・デメリットについて説明します。

①個人再生のメリット

個人再生のメリットは、

・住宅ローン以外の債務を圧縮することができる点

にあります。具体的にどのくらい圧縮されるかについては、前回の記事で説明していますので、こちらもご覧ください。

そして、自己破産と違って、

・住宅を残すことができる点

も大きなメリットになります(ただし、いくつかの条件があります。)。

また、自己破産の場合は裁判所での手続き中に職業制限や資格制限がありますが、個人再生の場合はこのような制限はありません。そのため、職業の問題で自己破産を選択しにくい人が個人再生を選択することも多いです。

さらに、自己破産手続きでは免責不許可事由となるギャンブルや浪費などによる借金についても、個人再生では問題視されることはありません。

②個人再生のデメリット

個人再生のデメリットは、任意整理などと同様、

・信用機関に事故情報が登録されるという点

があります。

また、官報にも掲載されます。

さらに、個人再生の場合、全ての債権者を平等に扱わなければならず、特定の債権者だけに返済をするということができません。そのため、車のローンがある方も、そのローンだけを支払うことはできませんから、ローンの支払いを止めなければならず、その結果としてローン会社に車を引き上げられてしまう可能性が高いこともデメリットといえます。

個人再生は手続きが難しいので、基本的に弁護士に依頼する必要がありますから、弁護士費用もかかります。

自己破産のメリット・デメリット

最後に自己破産のメリット・デメリットを説明します。

①自己破産のメリット

自己破産のメリットは

・全ての債務がなくなること

です。

今抱えている借金について、一切返済する必要がなくなります。借金0円の状態になりますから、返済に追われることもなくなり、まさに劇的な解決方法と言えるでしょう。

②自己破産のデメリット

自己破産のデメリットは、

・資産が清算されてしまうこと

・一部で職業制限や資格制限があること

・破産したことが周囲に知られる可能性があること

などが挙げられます。以下で、それぞれ詳しく説明します。

また、任意整理や個人再生と同様に信用機関に事故情報が登録されます。

(1)資産の清算

自己破産手続きを行うと債務はなくなりますが、破産者名義の資産も精算されて債権者に分配(配当)されることになります。そのため、不動産や車、有価証券、貸付金、預金、現金などを持っていた場合、破産するとこれらの財産を全て失うことになります。

ただし、99万円までの現金など、一部の資産は残すことができ(残せる資産の基準などは裁判所によって運用が異なります。)、家具や家電などの生活必需品も基本的に残すことができます。ですから、時価評価額の低い車などは、破産後も手元に残すことができます(ただ、ローンが残っている車については、基本的にローン会社が引き揚げてしまいます。)。

また、生命保険の返戻金見込額(破産申立時に解約した場合に発生する返戻金の見込額)についても資産として見なされます。そのため、返戻金見込額が一定額以上の保険については、基本的に解約することになります。ただ、事情があれば残せる可能性もあります。

さらに、退職金見込額(破産申立時に退職した場合に発生する退職金見込額)についても、潜在的な資産として見込額の8分の1が清算の対象となります。退職する必要はありませんが、退職金見込額の8分の1が一定額を上回る場合、その金額を裁判所に納める必要があります。

(2)職業制限・資格制限

自己破産をした場合、一部の職業・資格で制限があります。警備員や生命保険募集人などがこれに当たります。

破産手続きの開始決定から自己破産手続きが終わるまでの期間だけではありますが、これらの仕事をされている方については、大きなデメリットといえます。

(3)周囲に知られる可能性

自己破産をすると、官報に氏名等が掲載されます。官報は公の発行物ですから、見ようと思えば誰でも見ることができますので、周囲の人に破産したことを知られてしまう可能性もゼロではありません。ただ、官報を見る人はほとんどいないと思いますので、官報を見られたことで周囲に知られる可能性は極めて低いでしょう。

また、勤務先や友人、親族から借入れがある場合、それらの借入れ先も金融業者と同様に債権者として扱う必要があります。そのため、破産手続きの中で、裁判所から破産手続開始決定などが通知されることになり、自己破産することを知られてしまいます。なお、これを避けるために、これらの借入れ先にだけ返済をしようと考える人もいますが、一部の債権者のみへ返済することは偏頗弁済と呼ばれ、債権者平等の原則から禁止されています。

まとめ

今回は、任意整理・個人再生・自己破産のメリット・デメリットについてご説明しました。実際に債務整理をする場合は、ご自身の債務総額や毎月の返済可能額を基に、どの方法で債務整理をするかを考えますが、それに加えてそれぞれのメリット・デメリットもよく理解した上で方法を決めるべきです。

ただ、多くの方にとって債務整理をすることは初めてでしょうし、分からないことも多いと思いますから、債務整理をしようと考えたときには、まず弁護士にご相談ください。

債務整理については、相談無料の法律事務所が多いですから、相談料のご心配もいりません。

私たち優誠法律事務所も債務整理の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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