アダルトビデオなどのトレント利用で意見照会書が届いたら・・・

こんにちは、港区赤坂見附駅の優誠法律事務所です。

以前、「発信者情報開示に係る意見照会書」について解説しました。

「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いてしまったら・・・~トレント利用の場合も要対応~ | 優誠法律事務所ブログ (yuseilaw.jp)

これは、インターネット上にて著作権侵害や名誉毀損等の権利侵害があったとして発信者情報開示請求手続きが取られた場合に、プロバイダ等が権利侵害投稿を行ったと思われる契約者に対して発送するものでした。

今回は、特にトレントソフトを利用して漫画やアニメ、アダルトビデオを閲覧したことに関して意見照会書が届いたケースについて解説していきます。

トレントとは

トレントとは、ファイル共有ソフトの一つです。

ファイル共有ソフトといえば、日本では、かつて大きく話題になり開発者が逮捕されるに至った「Winny」が有名ですが、現在最も利用されているものがBitTorrentと言われるファイル共有ソフトです。

従来は、ファイルをダウンロードする際、当該ファイルが存在するコンピュータからファイルの全てをダウンロードしていました。

しかし、この方法では、ダウンロードしようとする人が増えると、通信が遅くなるという問題があります。

ファイル共有ソフトは、このような問題に対処するために、あるコンピュータからファイルの全てをダウンロードするのではなく、いくつかのコンピュータからファイルを少しずつダウンロードする方法をとっています。

そのため、アクセスが集中しても通信が遅くならないというメリットがあります。

トレント利用の問題点

上記のトレントをはじめとするファイル共有ソフトの仕組み自体は、何ら違法なものではありません。

しかし、いくつかのコンピュータからファイルを少しずつダウンロードするという仕組みを成り立たせるため、あるファイルをダウンロードした場合、同時に当該ファイルをアップロードしてしまうことになります。

そのため、ダウンロードしたファイル(アダルトビデオなど)が著作権を侵害する違法なものである場合、同時に違法ファイルのアップロードも行ってしまっていることになります

そもそも、近年の行政の啓発の通り、著作権を侵害するファイルをダウンロードすることも違法なのですが、出版社や制作会社等の著作者からすれば、ダウンロードした場合よりもアップロードした場合の方が問題だと考えます。

違法アップロードは、著作権者に損害を与える違法ダウンロードを将来にわたって行わせる元凶となる行為だからです。

したがって、トレントを利用して漫画やアニメ、アダルトビデオをダウンロード(同時にアップロードも行ってしまう)したケースについての発信者情報開示請求と損害賠償請求が増加しているのです。

さらに、著作権侵害には10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金という罰則もあり(著作権法119条)、実際にBitTorrentを利用した違法アップロードについては逮捕者も出ています。

以下の出版社のプレスリリースはその一例です。

20190318_kaizokuban.pdf (kodansha.co.jp)

トレントの仕組みを知らなかったという反論は成り立つか?

中には、上記のようなトレントの仕組みを知らず、ダウンロード同時にアップロードを行っているとは思わなかった、という方もおられます。

しかし、損害賠償請求は、故意のみならず過失があるにすぎない場合でも認められてしまいます。

そして、ほとんどケースでは、トレントの仕組みはインターネット上で説明されていることや、クライアントソフトの規約に記載がある、インストール時にアップロードを行う旨の警告が表示されている等の理由で、少なくとも過失が認められてしまいます。

大阪地裁判決令和3年4月22日判決も、「ビットトレントを利用してデータをダウンロードすれば,他のビットトレント利用者の要求に応じて自動的に当該データを送信可能な状態になることは,インターネット上で説明されている」と判示しています。

したがって、トレントの仕組みを知らなかったという反論を行うことは困難です。

トレント利用に関して意見照会書が届いた場合の対応

意見照会書が届いたということは、その段階で出版社や制作会社等の著作権者は違法行為の追及を実際に行っているということですから、対応を誤った場合、裁判にて発信者情報が開示されてしまい、高額の損害賠償請求や、刑事責任の追及がなされる恐れがあります。

そのまま意見照会書を放置してしまうと、民事裁判や刑事告訴がなされ、家族にもアダルトビデオの違法アップロードなどの事情が知られてしまう可能性があります。

放置や無視という対応はお勧めできません。

以下の記事で解説した通り、身に覚えがある場合には、開示に同意して示談交渉を進めることが、早期の解決と示談金を低額に抑える点から適切といえる場合が多いです。

「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いてしまったら・・・~トレント利用の場合も要対応~ | 優誠法律事務所ブログ (yuseilaw.jp)

示談金を低額に抑えるということはもちろん大切ですが、早期に解決するということも、家族等に知られないようにするという点では大切なことになります。

特に、弁護士を委任すれば、出版社や制作会社との窓口は弁護士になり、ご本人に連絡が行くことを避けることができます。

したがって、ご家族に知られずに早期に解決したいとお考えの方は、プロバイダ等から意見照会書が届いた場合、速やかに弁護士にご相談されることをお勧めします。

まとめ

今回は、特にトレント利用に関して発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合の対応についてご説明しました。

トレントの仕組みについてご存じなかったという方もおられると思います。

そのような場合でも、発信者情報開示請求や損害賠償請求、刑事責任追及の手続きは淡々と進んでいくことになります。

ダメージを小さく抑えるためには、一度弁護士に相談されることをお勧めいたします。

優誠法律事務所では、最近特に多いトレント利用での著作権侵害の場合は、

・初回ご相談は無料
・意見照会書の回答は11万円(税込)
・意見照会書の回答とその後の和解交渉については、着手金16万5000円、報酬16万5000円(税込み)

にてお受けしております。

特に和解交渉については、ご依頼者の生活に影響が出ないように、即時に解決できるよう尽力いたします。

ぜひとも一度ご相談ください。

0120-570-670

優誠法律事務所公式HPはこちらから

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

【関連記事】

「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いてしまったら・・・~トレント利用の場合も要対応~

投稿者プロフィール

 栗田道匡 弁護士

2011年12月に弁護士登録後、都内大手法律事務所に勤務し、横浜支店長等を経て優誠法律事務所参画。
離婚や不倫に関するトラブルを多く担当してきましたので、皆様のお力になれるように、少しでもお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。
■経歴
2008年3月 上智大学法学部卒業
2010年3月 上智大学法科大学院修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (共著、出版社:日本実業出版社)