不貞相手と不貞配偶者それぞれから順次不貞慰謝料を獲得した事例

2024年6月30日

こんにちは、代々木駅徒歩3分・新宿駅徒歩10分の優誠法律事務所です。

今回のテーマは不貞慰謝料です。

不貞についての慰謝料請求は、①不貞相手に請求する、②不貞配偶者に請求する、③双方に請求する、という3つの方法があります。

今回は、③のうち、まず不貞相手から慰謝料を回収した後に不貞配偶者からも慰謝料を回収した事例を紹介します。

不貞発覚後に、不貞配偶者と離婚するか、不貞配偶者に対して慰謝料請求をするか、悩む方は多いですが、今回の依頼者A子さんも、不貞発覚直後は、離婚するかどうか、夫に慰謝料請求をするかどうか、決心がつきませんでした。

そのため、今回の事例では、不貞相手の女性への慰謝料請求を先行させた訳ですが、同じようなことで悩んでいる方には有用な事例だと思われますので、参考にしていただければ幸いです。

事案の概要~結婚から約1年後に夫の不貞行為が発覚~

A子さんは、B男さんと結婚して1年数か月ほどでしたが、結婚して1年が経った頃からB男さんの様子がおかしかったことから問い詰めたところ、B男さんが不貞に及んでいることを告白しました。

不貞相手は、二人の結婚パーティーにも出席したB男さんの職場の同僚のC子さんとのことでした。

不貞告白の後、B男さんが出ていく形で別居が開始されていました。

A子さんは、とにかくC子さんが許せないという思いから当事務所にご相談に来られました。

なお、不貞告白後のB男さんとC子さんの関係については不明とのことでした。

ご事情を一通り伺った後、当事務所の弁護士からは、A子さんに対し、B男さんと婚姻関係を続けていくつもりがあるかをお聞きしました。

何度かこのブログでもご説明している通り、不貞慰謝料の金額は、婚姻関係が破綻しているか否か、端的に言えば離婚するか否かで大きく変わってきます。

そのため離婚の意思についてお聞きしました。

そうしたところ、当初のご相談段階では離婚については決められないとのことでした。

離婚については決められないにしても、C子さんに慰謝料を請求する意思は固かったので、まずはC子さんへの慰謝料請求を先行させ、もし離婚を決意されるのであればその後にB男さんへの慰謝料請求を行うことにしました。

不貞慰謝料はいわゆる不真正連帯債務と言われ、①被害者は加害者のどちらにも全額請求できますが、②損害額を超えて二重取りはできない、という特徴があります。

したがって、B男さんとC子さんの両方に同時に請求することもできるのですが、常に一方との交渉内容を意識しながら他方とも交渉を行うとなると交渉を進めることが難しくなる場合も想定されることや、そもそもA子さんのB男さんとの離婚の意思、B男さんに対して慰謝料を請求する意思が固まっていなかったことから、C子さんへの慰謝料請求を先行させることにしました。

なお、不真正連帯債務についてはこちらの記事(請求された不貞慰謝料を減額できた事例その3~不貞相手の離婚後に不貞慰謝料を請求された場合~ | 優誠法律事務所ブログ )もご参照ください。

不貞相手の女性(C子さん)との交渉

今回は、A子さんに離婚の決意こそありませんでしたが、B男さんに不貞があり、それが原因で既に別居が開始されていました。

そのような状況でしたので、不貞相手の女性C子さんに対しては、婚姻関係の破綻があるものとして当初300万円の慰謝料請求を行いました。

C子さん側にも弁護士が就き、A子さんとB男さんは別居しているとはいえ婚姻関係が継続していること、婚姻期間や不貞期間が短期であること等から、20万円であれば支払う旨の回答がなされました。

これに対して当方からは、A子さんとB男さんの婚姻期間中、C子さんがB男さんと不貞に及んでいた期間の割合がかなり大きいことや、A子さんB男さん夫婦がここから夫婦関係を修復することは困難であること等の反論を行い、C子さん側に再検討を求めました。

その後、交渉を経て、最終的にC子さんからは慰謝料100万円の支払いを受けることで和解がまとまりました。

A子さんとしても、100万円という金額は離婚をしないケースでの慰謝料額の上限と説明されることが多いことや、C子さんとの交渉が終了する頃にはB男さんとの離婚を決意されており、慰謝料の残額はB男さんに対し請求する意思を固めていたため、C子さんから回収する慰謝料は100万円ということでご納得いただきました。

不貞配偶者(B男さん)との交渉

続いて、B男さんとの慰謝料交渉を行いました。

B男さんは自身が家を出る形で別居されており、離婚したいと考えていることは明白でした。

したがって、こちらとしては、十分な慰謝料が支払われるのであれば離婚を検討する、というスタンスで交渉に臨みました。

また、配偶者に対する貞操義務を一義的に追っているのは不貞相手であるC子さんではなく不貞配偶者であるB男さんであり、その意味でB男さんの責任はC子さんよりも重いこと等を主張しました。

その上で、不貞慰謝料総額を300万円とし、そのうち100万円をC子さんから回収済みですので、残額200万円をB男さんに請求しました。

何度か交渉のやり取りがありましたが、最終的にはB男さんに200万円を払ってもらうことで交渉がまとまりました。

B男さんに収入があったこと、B男さんとしても早期に離婚したいと考えていたことが交渉成立のポイントであったと思われます。

最終的な解決内容~不貞配偶者と不貞相手それぞれから慰謝料を獲得~

以上のとおり、A子さんは、不貞相手の女性C子さんから100万円、不貞配偶者B男さんから200万円の総額300万円を獲得することができました。

A子さんとB男さんの婚姻期間が短期であったことからすれば、300万円は比較的高水準の慰謝料であり、A子さんにも喜んでいただけました。

まとめ

以上、不貞慰謝料について、まず不貞相手に慰謝料請求を行い、その後に不貞配偶者に慰謝料請求を行った事例についてご紹介いたしました。

常にこのような方法が最善とは限りませんが、不貞配偶者との関係をどうしようか悩まれているケースなどでは選択し得る方法です。

他方で、不貞配偶者と不貞相手の関係が現在も続いており、こちらとしても離婚を決意しているケースなどでは、一挙に双方に慰謝料を請求することもあり得ます。

不貞慰謝料の請求方法についてはいくつか手法がありますので、弁護士に一度ご相談されることをお勧めします。

優誠法律事務所では、初回相談は1時間無料ですので、お気軽にご連絡ください。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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投稿者プロフィール

 栗田道匡 弁護士

2011年12月に弁護士登録後、都内大手法律事務所に勤務し、横浜支店長等を経て優誠法律事務所参画。
離婚や不倫に関するトラブルを多く担当してきましたので、皆様のお力になれるように、少しでもお役に立てるような記事を発信していきたいと思います。
■経歴
2008年3月 上智大学法学部卒業
2010年3月 上智大学法科大学院修了
2011年12月 弁護士登録、都内大手事務所勤務
2021年10月 優誠法律事務所に参画
■著書
交通事故に遭ったら読む本 (共著、出版社:日本実業出版社)