ゴルフ会員権の預託金返還請求の具体例~2022年に解決した事例~

2023年7月23日

皆さま、こんにちは。

優誠法律事務所です。

今回のテーマはゴルフ会員権の預託金返還請求です!

以前、このブログでもゴルフ会員権の預託金返還請求の事例をご紹介しましたが(「ゴルフ会員権の預託金返還額を増額できた事例をご紹介!」)、この記事を見た方から多数のお問合せをいただいております。

ゴルフ会員権の預託金は、「ゴルフ場に預けているお金」ですから、基本的に据置期間の経過後にゴルフ場に返還を求めることができますが、経営難のゴルフ場が多く、色々な理由を付けて返還を拒んだり、減額しようとしてきます。

ゴルフ場側としては、返還額を減らしたい、返還を先延ばしにしたい、できれば返還したくない、という目的は一緒なのですが、預託金返還請求への対抗策の手法は様々です。

今回は、昨年(2022年)に実際にご依頼いただいた事案の中から、いくつかの事例をご紹介します。

ゴルフ会員権の預託金返還についてお困りの方のご参考になれば幸いです。

ゴルフ会員権の預託金請求

ゴルフ会員権の預託金制度については、以前の記事で解説していますので、そちら(「ゴルフ会員権の預託金返還額を増額できた事例をご紹介!」)もご覧ください。

基本的には、据置期間が経過していれば、退会する際にゴルフ場経営会社などに対して預託金全額の返還を求めることができます。

また、ゴルフ会員権は有価証券のように市場で売買することできますので、退会して預託金の返還を受ける以外に、市場で売却して売却額を得るという方法もあります。

ただ、現在では軒並み会員権の市場価格は下がっていますので、市場で一般の業者に売却しても安価になってしまうことが多いのが実情です。

以下でご紹介する事案は、いずれもゴルフクラブの退会と預託金の返還請求をした事案ですが、各ゴルフクラブの反応は様々で、預託金の返還を受けられた事案や提携している買取業者に買取りをしてもらう形で解決した事例など、解決方法も様々です。

茨城県のAゴルフ場の場合

相談者のPさんは、高齢のため、ほとんどゴルフをすることがなくなったことから、ゴルフクラブを退会して、預託金を返還してもらおうと考え、Aゴルフ場に退会手続きの問合せをしました。

そうしたところ、Aゴルフ場からは、毎年1回の抽選に当選した会員のみがゴルフクラブの退会ができることになっているため、まずはその抽選に申し込んでくださいと案内されました。

Pさんは、退会したいときにすぐに退会できると考えていたため、このようなゴルフ場側の対応に驚き、なんとかできないかと当事務所にご相談いただきました。

結果的に、このゴルフクラブの規約などを入手することがなかったため、この抽選方式が規約になっているのかどうかは分かりませんが、かなり珍しい方法で私たちも驚きました。

ゴルフ場側としては、抽選にして退会できる人数を制限することで、1年間に支払う預託金の金額を一定額で抑え、預託金返還によって経営が圧迫されないようにしたいという意図で、このような仕組みにしているものと思われます。

しかし、このような会員にとって不利益になる制度変更については、その効力を主張するためには個別の承諾が必要と考えられますから、本来は、ゴルフクラブが一方的に規約を改定しても、それを個々の会員に主張することはできません。

私たちは、Pさんからご依頼いただいた後、このような抽選に当選しなければ退会できないなどという規約の効果は、承諾していないPさんには及ばないと主張し、即時の退会と預託金全額(約100万円)の即時返還を求めました。

その後、交渉の際には、ゴルフ場側から多少の抵抗はありましたが、結局、ゴルフ場側も即時の退会と預託金返還を了承し、預託金全額を一括で取り戻すことができました。

神奈川県のBゴルフ場の場合

こちらの相談者Qさんは、高齢という程のご年齢ではありませんでしたが、ご病気を経験されてゴルフをする機会自体が減ったことや会員権をお持ちのBゴルフ場以外でプレーすることもあり、Bゴルフ場でプレーすることが少なくなったことから、ゴルフ会員権を持っていることにあまり価値がなくなったと感じておられ、退会して預託金を返還してもらうことを希望していました。

そこで、Qさんがご自身でBゴルフ場に退会について問い合わせたところ、経営難のため、現在は預託金の20%の返還で了承するようお願いしているとの回答を受けました。

Qさんの預託金は300万円程だったこともあり、経営難とはいっても20%では納得できないと考えて、再三Bゴルフ場側と交渉しましたが、結局回答は変わらず、最後には「納得できないなら弁護士に依頼したり、裁判をすればいいんじゃないですか?」などと言われたとのことで、憤慨して当事務所にご相談にいらっしゃいました。

私たちは、Qさんからご依頼いただいた後、Bゴルフ場側に対し、退会と預託金全額の返還を求める通知を送り、交渉を始めました。

その後、Bゴルフ場側も弁護士に依頼し、弁護士同士での交渉となりましたが、ゴルフ場側の弁護士から経営難と退会希望者急増のため、預託金返還の予算に限界があり、50%の返還で了承してもらいたいとの回答がありました。

Qさんは、当初の2倍以上の提案がすんなり出てきたことに驚いていましたが、以前Bゴルフ場から裁判で預託金を返還してもらった人が70%の返還を受けたという噂を聞いて、もう少し増額交渉して欲しいというご希望がありました。

そこで、私たちはさらに交渉を重ねたところ、結果的に預託金の70%を2ヶ月後に一括で返還するという条件を引き出すことができ、和解になりました。

栃木県のCゴルフ場の場合

こちらの相談者のRさんは、高齢のため、しばらくゴルフをしておらず、所有していたCゴルフ場のゴルフクラブを退会して預託金の返還を受けようと考えていました。

しかし、Cゴルフ場は経営難で運営会社が数回変わっていて、問合せ先もよく分からず、Cゴルフ場に直接連絡したところ、預託金の返還は数年待ちになっていて、返還できる金額もわずかになると言われてしまいました。

そこで、Rさんは、なんとかならないかとインターネットで調べていたところ、当事務所のブログの記事をご覧になり、ご相談のご連絡をいただきました。

私たちは、Rさんからご依頼いただいた後、Cゴルフ場の会員権の管理などをしている会社を突き止め、預託金の返還を求める通知を送りました。

そうしたところ、Cゴルフ場側から連絡があり、経営難で預託金の返還は難しいため、提携している買取業者へ会員権を売却するという方法で解決したいとの提案がありました。

しかし、Rさんの預託金は約1000万円とかなり高額であったところ、買取価格は15%程度の金額になってしまい、しかも一括での支払いが難しいことから、2年ほどの分割でお願いしたいと言われました。

Rさんとしても、Cゴルフ場が経営難であることは理解していましたので、預託金の返還率が低くなることは納得されましたが、15%を2年分割という条件はさすがに酷いので、もう少し交渉をして欲しいというご希望でした。

その後、買取業者と交渉を重ねたところ、結局、預託金の30%の金額での買取り、売買代金を3年分割で支払うという内容で合意することになりました。

まとめ

今回は、2022年にご依頼いただいたゴルフ会員権の預託金返還請求の事案の中から、具体的な事例を3件ご紹介しました。

近年のゴルフ場は経営難のところが多いですから、預託金返還請求の事案はやってみないとどうなるか分からないという側面はありますが、ご紹介した3件に限らず、当事務所がこれまでにご依頼いただいた事例では、全ての事案でご依頼前より預託金の回収率が上がったり、返還日が早まっていますので、弁護士にご依頼いただくことでご本人が交渉されるより良い条件を引き出せることは多いといえます。

全国のゴルフ場の対応が可能ですから、お困りの際にはぜひ一度ご相談ください。

ゴルフ会員権の預託金返還請求の弁護士費用は、

着手金:無料(事務手数料1万1000円のみご負担いただきます。)

※訴訟提起の場合のみ別途訴訟着手金あり

成功報酬:回収した預託金の22%(税込)

です。

私たち優誠法律事務所では、ゴルフ会員権の預託金返還請求のご相談は、初回無料ですのでお気軽にご相談ください。

優誠法律事務所公式HPはこちらから

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投稿者プロフィール

 甘利禎康 弁護士

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
ゴルフ会員権の預託金返還請求についても、多くの方からご依頼いただいております。皆様のお役に立てると思いますので、お気軽にご相談ください。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本(出版社:日本実業出版社)