不倫相手に慰謝料200万円で示談成立した事例|不貞行為に対する請求と交渉ポイント

皆さん、こんにちは。

優誠法律事務所です。

今回のテーマは、不貞慰謝料(不倫慰謝料)です。

不倫が発覚したときの精神的ショックは非常に大きく、「相手に慰謝料を請求できるのか」「いくらが相場なのか」「どう進めればよいのか」といった不安を抱える方は少なくありません。

しかし、慰謝料は状況によって大きく変わるため、感情的な話し合いだけでは本来受け取れるはずの金額に届かないケースも多くあります。

本記事では、当事務所が実際に担当した 不倫相手に慰謝料請求を行い、最終的に200万円で示談に至った事例をご紹介します。

あわせて、

・不倫慰謝料が認められるための法的根拠
・慰謝料の相場が決まる要素
・相手に応じさせるための交渉のポイント
・弁護士が介入するメリット

について分かりやすく解説します。

「できるだけ早く状況を整理したい」「適切な金額での解決を目指したい」という方は、ぜひ参考にしてください。

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本件のご相談状況と初動

ご依頼いただいたのは、夫側からの慰謝料請求のケースでした。

依頼者の方は結婚してまだ一年に満たない中で、不倫の事実を知ってしまい、大きな精神的ショックを受けておられました。

不倫相手の男性については、氏名や勤務先、SNSアカウント、LINEの連絡先までは判明していましたが、電話番号や住所までは分からない状況でした。

当事務所は、まず判明していたLINEを通じて相手方にコンタクトを取りました。

その結果、相手方本人からLINEを通じて回答を受けることができました。

事前に妻から不倫の事実を認めた念書を作成してもらっていましたが、不倫相手の男性も不倫の事実は認めました。

そして、不倫相手は反省の情を記載したうえで「100万円を支払う」旨を回答してきました。

不倫慰謝料の基礎知識

不倫慰謝料とは

不倫慰謝料請求の根拠となるのは、民法709条(不法行為に基づく損害賠償請求)および民法710条(精神的損害に対する慰謝料)です。

既婚者であることを知りながら肉体関係を持った第三者には、他方配偶者に対する不法行為が成立します。

まとめますと、慰謝料を請求できるためには、次のような要件を満たす必要があります。

・不貞行為(配偶者以外との肉体関係)があったこと
・故意または過失があること(既婚と知っていた、または知り得た)
・精神的苦痛という損害が発生したこと
・不倫行為と損害との間に因果関係があること

配偶者が不倫をしている場合、上記要件を満たしていれば不倫をした配偶者だけでなく、配偶者の不倫相手に対しても慰謝料の請求が可能です。

実務上は、相手の資力や依頼者の希望を踏まえて、どちらに請求するか、あるいは両方に請求するかを検討します。

不倫慰謝料が認められやすい範囲

不倫慰謝料の金額は個別に決定されるものではありますが、一般的には数十万円から300万円程度が多く、ケースによって増減します。

金額を左右する要素としては、

・婚姻期間(長期か短期か)
・不倫期間(継続的か一時的か)
・子どもの有無
・不倫の悪質性(隠蔽や二重生活など)
・結果として離婚に至ったか否か

といった事情が考慮されます。

なお、不倫慰謝料の金額は、夫婦関係がどの程度破綻したか、別居や離婚に至ったかといった事情によって大きく変動します。

一般的には50万円〜300万円程度といわれますが、離婚に直結した場合や、夫婦関係の修復が難しいほど深刻な精神的苦痛が認められる場合には、200万円以上となる高額の慰謝料が認められるケースもあります。

慰謝料額は、「夫婦の婚姻期間」「不倫期間」「不倫の悪質性」「子どもの有無」「別居や離婚の有無」といった事情を総合的に考慮して決定されます。

不倫慰謝料を請求する方法と手続きの流れ

不倫慰謝料請求の方法は、大きく3つのステップに分かれます。

① 示談交渉 

相手との直接交渉や、弁護士を代理人として交渉を進める方法です。

弁護士を介入させることで、感情的な対立を避けられ、冷静な話し合いが期待できます。

② 内容証明郵便による請求 

相手が話し合いに応じない場合には、請求内容を明確にした書面(内容証明)を送付します。

慰謝料請求をしたことが記録として残るため、消滅時効などの観点で証拠にもなります。

なお、弁護士が代理人として交渉を進めるケースでは、先に内容証明郵便で通知書を送ることが一般的です。

③ 裁判による請求 

交渉で解決が難しい場合には、訴訟によって解決を図ります。

第三者である裁判官が関与することで、適切な主張立証が行われ、納得できる解決につながる可能性が高まります。

初期段階では、弁護士が書面で請求するだけでも相手の対応姿勢が大きく変わるケースが多いため、まずは専門家へ相談することが有効です。

不貞相手方との交渉結果等

上記のとおり、本件では不倫相手方から「100万円なら支払う」という回答がありました。

その相手方の回答について依頼者と協議したところ、本件を理由に離婚に至る重大性を踏まえ、依頼者の受けた精神的な苦痛の大きさを考えると、100万円では到底慰謝されるものではないということで、改めて300万円を支払うよう請求することにしました。

その後、相手方が弁護士を選任し、弁護士から書面で連絡を受けるに至りました。

相手方代理人弁護士からは、代理人を通じて「50万円を支払う」という回答がなされ、従前の相手方の回答額よりも低額になっていました。

この時点でどこまで交渉で話を詰めていくべきか(裁判による解決に移行すべきではないか)、実際に裁判になった場合にはどのような認定となり得るのかなどを依頼者と協議しました。

この点、本件は婚姻期間が短く不倫期間も数か月にとどまることから、慰謝料額は比較的低額になってしまう可能性もありました。

しかし、離婚に直結するという重大な結果が伴うことを強調し、当事務所は一貫して300万円を主張し続けました。

粘り強い交渉の結果、相手方も譲歩して、最終的には200万円での示談が成立することになりました。

安易な減額に応じずに交渉を継続したことにより、訴訟に至ることなく早期に納得できる金額で解決できたケースとなりました。

不倫慰謝料を請求するにあたり弁護士が関与するメリット

不倫慰謝料の交渉は、当事者同士で進めようとすると感情的になりがちです。

また、相手が弁護士をつけた場合には、一人で対応することが難しく、提示額に妥協してしまうケースも少なくありません。

弁護士が代理人として介入することで、

・適正な慰謝料額を把握したうえで主張できる
・相手が弁護士をつけても対等に交渉できる
・裁判に至らずに示談で解決できる可能性が高まる
・依頼者が直接やり取りするストレスから解放される

といったメリットがあります。

実際に今回の事例でも、当初の提示額から大きく増額して解決に至りました。

よくある質問(Q&A)

Q1. 不倫慰謝料の相場はいくらですか?

一般的には数十万円から300万円程度といわれることが多いように感じます。
もっとも、金額は婚姻期間や不倫期間の長さ、子どもの有無、不倫の悪質性、そして離婚に至るかどうかなどの個別のご事情によって大きく変わります。
また、当事者の合意ができるのであれば相場を強く意識する必要もありません。

Q2. 不倫の証拠はどのようなものが必要ですか?

まず、不倫慰謝料を請求するにあたり問題となることが圧倒的に多いのは不倫の事実です。
双方の認識に相違がある場合には、「不倫(一般的には肉体関係)を裏付ける証拠」があるかどうかが大きなポイントになります。
「不倫(一般的には肉体関係)を裏付ける証拠」に、ホテルや自宅への出入り写真や動画、LINEやメールのやり取り、不倫を認める発言の録音などが典型です。
最近は、SNSやLINEの記録も重要な証拠として扱われています。
次に不倫相手に対して請求する場合に注意が必要なのは、不倫相手において配偶者が既婚者であることを知っていたどうかという点です。
配偶者が不倫相手に対して、独身者であると偽っている場合などには、不倫相手の故意又は過失を問えなくなる可能性があります。
不倫相手において配偶者が既婚者であることを知っていたことを裏付ける証拠として、配偶者が不倫相手に会っているときの写真に結婚指輪が確認できるか、配偶者がSNS等で既婚者であることを表明しているかどうかなどが吟味されます。
また、LINEやメールのやり取りで配偶者が既婚者であることを前提としたやり取りがなされている場合には有力な証拠になります。

Q3. 不倫相手の住所が分からなくても慰謝料請求はできますか?

可能な場合があります。
SNSやLINEなどで連絡が取れる場合には、示談交渉を進めてみることができます。
実際に今回の事例でも、LINEしか分からない状況から交渉を開始しています。
ただし、裁判を視野に入れる場合は住所特定が必要になるため、早めにご相談いただくことをおすすめします。

Q4. 不倫慰謝料請求には時効がありますか?

不倫慰謝料請求には「時効」があります。
不倫の事実と不倫相手を知った時から3年、または不倫行為から20年が経過すると請求できなくなってしまいます。
時効が近づくと証拠収集や内容証明の準備が間に合わなくなることがあるため、できるだけ早めに相談することが重要です。

Q5. 配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求できますか?

可能です。
不倫をした配偶者と不倫相手は、共同不法行為者になりますので、双方に請求することができます。
ただし、2倍の慰謝料を受け取ることができるというわけではなく、どちらに支払いを求めるかという問題にとどまります。
すなわち、例えば不倫による精神的損害の額が300万円であると考えている場合には、双方に300万円を支払えという請求をすることができますが、配偶者から300万円の支払いを受けたときには、不倫相手に対する請求はできなくなる(損害がすべて補填されている為)ということに注意が必要です。

Q6. 弁護士に依頼すると費用が心配です…

当事務所では初回相談を無料で承っております。
実際に請求できる見込み額や手続きの流れを確認したうえでご依頼いただけますので、安心してご相談ください。
費用についても分かりやすくご説明差し上げることを心がけています。

Q7. 不倫が原因で離婚する場合、慰謝料以外に考慮すべき点はありますか?

不倫が原因で離婚に至る場合には、慰謝料だけでなく「財産分与」「養育費」「面会交流」なども併せて検討する必要があります。
特に、夫婦が築いた財産をどのように分けるかは離婚後の生活に直結します。
また、離婚の場面では精神的負担が大きいため、不倫慰謝料と離婚条件の交渉を同時に行う場合には、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

不倫慰謝料の金額は、婚姻期間や不倫行為の内容、別居や離婚の有無などによって大きく異なります。

相手から低額な提示があったとしても、証拠と法的根拠に基づいて交渉することで、適正な金額まで引き上げられる可能性があります。

ただし、不倫問題は当事者同士で話し合うと感情的対立に発展し、解決が長期化したり、相手が態度を硬化させてしまうことも少なくありません。

弁護士が介入することで、冷静かつ法的に正当な主張を行うことができ、裁判に至らず示談で解決できる可能性も高まります。

当事務所では、初回相談を無料で実施しております。

「自分の場合、どの程度の慰謝料が見込めるか知りたい」「証拠が十分か不安」といった段階でも構いません。

状況を丁寧に整理し、最適な進め方をご提案いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

☎0120-570-670

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投稿者プロフィール

弁護士牧野孝二郎
 牧野孝二郎 弁護士

これまで、離婚・相続・労働・交通事故などの民事事件を数多く手がけてきました。今までの経験をご紹介しつつ、皆様がお困りになることが多い法律問題について、少しでも分かりやすくお伝えしていきます。
■経歴
2009年03月 法政大学法学部法律学科 卒業
2011年03月 中央大学法科大学院 修了
2011年09月 司法試験合格
2012年12月 最高裁判所司法研修所(千葉地方裁判所所属) 修了
2012年12月 ベリーベスト法律事務所 入所
2020年06月 独立して都内に事務所を開設
2021年03月31日 優誠法律事務所を開設
2025年04月 他事務所への出向を経て優誠法律事務所に復帰
■著書
こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)