ゴルフ会員権の預託金返還額を増額できた事例をご紹介!

2023年7月23日

皆さま、こんにちは。

優誠法律事務所です。

今回のテーマはゴルフ会員権の預託金返還請求です。

私たちの事務所でも、ゴルフ場の会員権をお持ちの方から、プレーすることが少なくなったから退会して預託金を回収したいというご相談をお受けすることがあります。

預託金は「ゴルフ場に預けているお金」ですから、本来、契約時の据置期間が経過したら、ゴルフ場に返還を求めることができます。

しかし、経営難のゴルフ場も多いですから、法律上返還義務はあるものの、預託金の額面の数%しか返還に応じないというゴルフ場もあります。

そこで、今回は、このゴルフ会員権の預託金返還請求について、具体的な事案とともにご説明します。

預託金の返還についてお困りの方のご参考になれば幸いです。

ゴルフ会員権の預託金とは?

ゴルフ会員権の預託金制度は、会員が一定の金額をゴルフ場に預けて会員となり、ゴルフ場経営会社は会員の預託金を資金としてゴルフ場を運営する仕組みです。

預託金は無利子で一定期間(5~10年が多いです)据え置かれ、退会する際に返還を求めることができます。

また、会員になると、ゴルフ場で一般の利用者(ビジター)より優先的な予約、クラブ競技参加などのサービスを受けられたり、会員料金での利用ができます。

なお、ゴルフ会員権は有価証券のように市場で売買することができます。

預託金返還の実情

ゴルフ場の会員権は、バブルの時代には高額で取引され、ステータスとして所有している人も多かったですが、バブルが崩壊し、不況によって市場価値が大きく下がりました。

ご説明したように、ゴルフ会員権は市場で売買することもできますので、市場で売却する人も多いですが、市場での取引額が大きく下がったことで、売却しても入会時の金額から大きく目減りしてしまうため、ゴルフ場に対して預託金の返還を求める人も多くなりました。

ところが、バブル崩壊後、ゴルフ場は経営難に陥っているところが多く、据置期間が経過した後でも預託金の返還に応じることが難しい場合が多いです。応じたとしても、かなり少ない額の返還となることがほとんどです。

また、ゴルフ場側は、「据置期間を延長したので、据置期間は満了していない」などと反論してくることもありますが、この点は、個別的な承諾を得ていない会員に対して会則の据置期間延長の効力を主張することはできないとする裁判例があり、ゴルフ場側の反論は認められません。

そのため、裁判に発展した場合でも、据置期間の経過などの預託金返還請求の条件が満たされていれば、基本的に会員からの請求が認められることになります。

ただ、裁判で請求が認められたとしても、ゴルフ場側が経営難で破産してしまえば、結局回収することはできませんし、ゴルフ場の経営会社に差し押さえられる資産がなければ勝訴判決も紙切れになってしまいます。

実際、高額の支払いに応じる資金力がないゴルフ場も多いですから、裁判になってもゴルフ場側が満額返還に応じることはほとんどなく、ある程度の金額で和解をせざるを得ないのが実情です。

預託金返還請求の具体例~Fさんの場合~

ここでは、私たちがご依頼をお受けしたFさんの例をご紹介します。

Fさんは、バブルの時代に新潟県の某ゴルフ場の倶楽部に入会し、その際の預託金は500万円でした。その後、バブル崩壊後の不況によって、この会員権の市場価格は大幅に下がってしまいましたが、Fさんはこのゴルフ場を気に入っていたので毎月のように利用しており、会員権を手放すことはありませんでした。

このゴルフ場の預託金据置期間は10年とされていましたが、Fさんは10年経過後に据置期間を10年間延長することを承諾しました。

その後、延長された10年間の据置期間も経過しても、Fさんはこのゴルフ場を利用していましたが、70代後半となってここ数年プレーする機会が減ったことから、退会して預託金の返還を求めることにしました。

しかし、ゴルフ場側からの回答は、現在は退会する会員全員に預託金の15%の返還で合意してもらっている、経営難のためにその15%の返還も数年待ちになるかもしれないというものでした。

そこで、納得できなかったFさんは私たちの事務所にご相談にいらっしゃいました。

当事務所では、まず、ゴルフ場に対して内容証明郵便で預託金の額面満額の返還に応じるよう請求しました。

しかし、ご説明したように、ゴルフ会員権の預託金返還請求は法的にはほとんどのケースで認められますが、実際に経営難のゴルフ場に多額の返還に応じさせることは難しい場合が多いです。

Fさんのケースでは、最終的に交渉で預託金の30%を和解から1ヶ月以内に支払うという条件を引き出すことができ、裁判をせずに和解に至りました。

預託金である以上、本来は満額が返還されるべきところではありますので、ある程度妥協しなければならないという点で弁護士としては忸怩たる思いもありますが、Fさんとしては、弁護士費用を控除しても元々の提示額より大幅に増額する結果となり、お喜びいただきました。

まとめ

今回は、ゴルフ会員権の預託金返還請求についてご説明しましたが、ご紹介したFさんの事例のように、弁護士にご依頼いただいて請求することで預託金の回収率が上がり、返還日も早まることは多いです。

会員ご本人からのご相談に加え、会員だった方が亡くなって相続人の方からご相談をお受けすることもあります。

全国のゴルフ場の対応が可能ですから、お困りの際にはぜひ一度ご相談ください。

ゴルフ会員権の預託金返還請求の弁護士費用は、

着手金:無料(事務手数料1万1000円のみご負担いただきます。)

※訴訟提起の場合のみ別途訴訟着手金あり

成功報酬:回収した預託金の22%(税込)

です。

私たち優誠法律事務所では、初回相談は無料ですのでお気軽にご相談ください。

優誠法律事務所公式HPはこちらから

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投稿者プロフィール

 甘利禎康 弁護士

法律の問題は、一般の方にとって分かりにくいことも多いと思いますので、できる限り分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
ゴルフ会員権の預託金返還請求についても、多くの方からご依頼いただいております。皆様のお役に立てると思いますので、お気軽にご相談ください。
■経歴
2005年3月 早稲田大学社会科学部卒業
2005年4月 信濃毎日新聞社入社
2009年3月 東北大学法科大学院修了
2010年12月 弁護士登録(ベリーベスト法律事務所にて勤務)
2021年3月 優誠法律事務所設立
■著書
交通事故に遭ったら読む本(出版社:日本実業出版社)