面会交流を弁護士に相談するメリットとは?離婚問題に強い法律事務所が解説

皆さん、こんにちは。

優誠法律事務所です。

今回の記事のテーマは、「面会交流」です。

離婚や別居に至る夫婦関係において、面会交流が争点になることは多いですが、過去にDV(ドメスティック・バイオレンス)や精神的な対立が深く関わっている場合、お子様との面会交流をいかに安全かつ円滑に継続するかは、最も困難な課題の一つとなります。

特に、子の監護親が別居親との直接連絡に恐怖や抵抗感を抱いている場合、両親間の意思疎通自体が途絶えがちです。

本記事でご紹介する当事務所が扱った事例は、父である依頼者(AAさん)の有責行為を理由に母(Bさん)が子(Cさん)を連れて別居して離婚に至ったケースです。

当事務所は、Aさんの反省の姿勢を踏まえつつ、子の福祉を最優先とし、第三者機関による付添い型面会交流と、連絡仲介アプリの導入を組み合わせることで、難航していた面会交流の実施と離婚後の安全な連絡経路の確保を実現しました。

本記事では、面会交流をめぐる問題の解決までの流れなども併せて解説しますので、面会交流でお困りの方は、参考にしていただけますと幸いです。

面会交流とは

面会交流とは、お子様と離れて暮らす親(別居親)が、お子様と会ったり、電話や手紙などで交流したりすることです。

面会交流は、子どもの健全な成長のために、子ども自身が両方の親からの愛情を感じるための重要な権利であるとされています。

親のための制度ではなく、子どもが両方の親から愛情を受ける機会を確保するための重要な権利と位置づけられています。

そのため、親同士の関係が悪化している場合であっても、子どもの福祉の観点から、面会交流の必要性が検討されることになります。

離婚後は、子どもと同居する「親権者」や「監護親」が、子どもの日常的な監護・養育を担うことが一般的ですが、親権者でない親であっても、子どもと交流する権利・機会が否定されるわけではありません。

面会交流の具体的な方法や頻度については、子どもの年齢や心身の状況、父母双方の関係性などを踏まえ、子どもにとって負担が生じない形で検討されることが重要です。

しかし、父母間の信頼関係が崩壊している場合、面会交流の実施にあたっては、子どもが板挟みになったり、親同士の接触が更なるトラブルを引き起こしたりするリスクがあります。

そのため、当事者間の対立状況を考慮し、第三者の介入や付添いによる実施が重要となります。

なお、子どもと同居していない配偶者に有責性が認められる場合、そもそも面会交流をさせないという主張がなされることがありますが、上記のとおり面会交流は子ども自身の権利でもあり、また夫婦としての適格性(有責性)と子どもに対する親としての適格性は異なりますので、子どもへの暴力や虐待等が認められない限りは面会交流を実現させることが原則として子どもの福祉に資すると考えられています。

面会交流が拒否される主な理由とよくある問題

面会交流は、子どもの権利として重要である一方、現実には親権者から拒否されるケースも多く見られます。

その背景には、父母間の対立や過去の出来事が複雑に影響していることが少なくありません。

特に多い理由の一つが、過去のDV(家庭内暴力)やモラハラ、暴言などによる精神的な恐怖や不信感です。

親権者側が強い不安を抱えている状況では、子どもへの影響を懸念し、面会交流そのものを拒否する判断に至ることがあります。

また、面会交流を実施するための連絡手段がトラブルの原因となる場合もあります。

電話やメール、SNSを通じたやり取りの中で、感情的な言動や過去の問題が再燃し、相手方との話し合いが成立しない状況に陥るケースも少なくありません。

このように、当事者同士での協議が困難となり、話し合いができない状態が続くと、面会交流の実現自体が停滞してしまう可能性があります。

そのため、感情的対立の背景や拒否に至った原因を整理し、冷静に解決策を検討することが重要となります。

面会交流は拒否されても「可能」か?法律上の考え方

面会交流は、親権者が拒否している場合であっても、直ちに不可能となるわけではありません。

法律上は、子どもの利益や福祉を最優先に考え、面会交流を認めるべきかどうかが検討されます。

当事者間で話し合いによる合意が成立しない場合には、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることが可能です。

調停では、父母それぞれの主張を踏まえつつ、子どもの年齢や生活環境、これまでの経緯などを考慮し、面会交流の条件や方法が具体的に検討されます。

また、過去に離婚原因となる行為があり、有責配偶者と評価される場合であっても、直ちに面会交流が否定されるわけではありません。

夫婦間の問題と、子どもに対する親としての関係性は別に考えられるため、子どもへの虐待や著しい不利益が認められない限り、面会交流が認められる可能性はあります。

ただし、DVやモラハラなどが深刻である場合には、面会の方法や頻度、第三者の立会いの有無など、子どもの安全と心理的負担に配慮した条件が付されることが一般的です。

裁判所は、形式的な主張だけでなく、実際の状況やリスクを踏まえたうえで、面会交流の可否や内容を判断します。

このように、家庭裁判所は父母の主張だけでなく、子どもの生活状況や心理面を踏まえて、面会交流の可否や条件を総合的に判断します。

弁護士に相談・依頼するメリット

面会交流に関する問題は、当事者同士での話し合いによって解決できるケースもありますが、感情的な対立や過去のトラブルがある場合には、協議が進まず行き詰まってしまうことが少なくありません。

特に、直接連絡を取ること自体が負担となっている状況では、冷静な話し合いを続けることが困難です。

このような場合に弁護士に相談・依頼するメリットは、単に法的手続きを代理することにとどまりません。

弁護士が間に入ることで、当事者同士が直接やり取りする必要がなくなり、連絡調整の負担を大幅に軽減することができます。

また、弁護士は、家庭裁判所での調停や申立てを見据えたうえで、面会交流の実現に向けた現実的な解決策を提案し、必要に応じて主張や条件の整理を行います。

これにより、感情論ではなく、子どもの福祉を中心とした冷静な協議が可能となります。

さらに、弁護士が関与することで、子どもに無用な心理的負担を与えない配慮を前提とした面会交流の方法を検討することができます。

面会の頻度や方法、連絡手段などについても、具体的な状況を踏まえた調整が可能です。

面会交流の問題は、家庭ごとに状況が異なり、画一的な解決策はありません。

だからこそ、専門的な知識と経験を有する法律事務所・弁護士によるサポートを受けることで、当事者双方と子どもにとって納得のいく解決につながる可能性が高まります。

面会交流の流れ|相談〜調停・合意まで

面会交流に関する問題は、状況によって進め方が異なりますが、一般的には次のような流れで解決を目指すことになります。

全体の流れを把握しておくことで、現在どの段階にあるのかを整理しやすくなります。

① 弁護士への相談

まずは、現在の状況やこれまでの経緯について弁護士に相談します。
この段階では、面会交流が可能かどうか、どのような方法が考えられるかについて整理を行います。

② 協議による話し合い

弁護士が代理人として相手方と連絡を取り、当事者同士での協議による解決を目指す方法です。
面会の頻度や方法、連絡手段などを具体的に決めることになります。

③ 家庭裁判所への申立て・調停

協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることになります。
調停では、調停委員を介して双方の主張を整理し、合意の成立を目指します。

④ 条件の調整と合意の成立

調停の過程で、面会交流の方法や条件を調整し、双方が納得できる形で合意が成立すれば、具体的な実施方法が決まります。
この合意内容は、将来のトラブルを防ぐうえでも重要です。

このように、面会交流は状況に応じて段階的に進められます。

どの時点で弁護士に依頼するかによって、その後の手続きの進み具合や心理的負担の大きさも変わるため、まずは早めに相談することが解決への近道となります。

【解決事例】面会交流を拒否された離婚案件で交流を実現したケース

 以下では、当事務所が実際に扱った事案をご紹介します。

ご相談(ご依頼時の状況)

Aさんは、妻のBさんと長女のCさんの3人で暮らしていましたが、Bさんが、Cさんを連れて家を出てから行方不明となり、その後、Bさんの代理人弁護士から、Aさんの暴言に耐えられないため離婚したい旨の内容証明が届きました。

Aさんは婚姻関係の継続、家族での生活の再開を望んでおり、また娘Cさんとの面会交流の実現を強く希望し、当事務所にご相談されました。

争点

Aさんとしては、離婚を望んでいなかったものの、代理人弁護士同士を通じた連絡を続けるうちに、Bさんの離婚の意思が固く、もはや元の家族関係を再構築することはかなわないと思うようになりました。

そこで、Aさんとしては、特に長女Cさんとの今後のかかわりを重要視して離婚条件を定めていきたいと考えるようになりました。

解決までの流れ

① 交渉開始

Bさん側からの連絡を受け、当事務所の担当弁護士が相手方代理人弁護士に対し、Aさんの代理人弁護士に就任した旨を伝え、代理人弁護士同士での交渉が開始されました。

② 第三者機関利用の決定と面会交流の開始

交渉を開始してからおよそ2か月後、NPO法人東京面会交流支援センターを利用する方法での面会交流の実施に双方が合意したことで試行面会が実施されました。

③ 離婚条件交渉

上記①~②の期間を通じて、Bさんの離婚に向けた固い意思を確認できたことで、Aさんとしても離婚はやむを得ないと考えるようになりました。
そこで、離婚の条件を定めていく交渉が開始されました。

Aさん(依頼者)は、Bさん(相手方)に対し、過去に暴言を吐いたりするなどの行為があったことを認めており、Bさん側はAさんの行為により多大な精神的苦痛を被ったと主張していました。
Aさんは、自己の有責性を認め、Bさんの離婚の意思を尊重し、協議離婚の成立を目指しました。
なお、Aさんは自身の過去の行いを反省しDVのカウンセリング等を受けていました。

一般的に、一方の配偶者に有責性が認められる場合、夫婦間では慰謝料の問題が、子どもとの関係では親権者及び面会交流の実施方法等に大きな争いとなることが多いです。

④ 離婚成立

離婚条件交渉を開始してから約2か月後、両者間で離婚条件の合意に至り、離婚届が提出され協議離婚が成立しました。

第三者機関による付添い型面会交流の利用

本事例において、BさんはAさんに対し、過去の暴言等を理由に強い不信感と恐怖を抱いており、直接の連絡を拒否していました。

Aさんは円滑な面会交流等の実現のために直接連絡を希望していましたが、Bさんの気持ちに寄り添い、以下のように第三者機関による付添い型面会交流の方法を用いて、親子の交流を安全に実現することとしました。 

① 第三者機関の選定

Bさん側の提案に基づき、NPO法人東京面会交流支援センターの付添い型の面会交流支援を利用することで合意しました。
このセンターは、離婚や別居によって離れて暮らす親子の面会交流を支援する特定非営利活動法人です。

② 支援の内容

付添い型の面会交流支援では、支援センターの事務所内にある面会スペースでスタッフが付き添いながら交流を実施します。
本件では、まず試行面会が行われ、その後に正式な支援継続が決定されました。
同センターの利用には費用がかかりますが、AB双方で折半することで合意しました。

③ 非接触の徹底

このセンターを利用した面会交流では、支援センターを介する方法で連絡をとりあうことが基本となりますので、Bさん側のAさんとの直接的な接触を強く避けたいという希望をかなえることができます。

離婚後の連絡手段としての連絡仲介アプリ導入

面会交流とは別に、子どもの体調不良、急な面会交流のキャンセル、災害時の安否確認など、父母として事務的な連絡を取り合う必要は生じます。

本事例では、AさんによるLINE等での精神的な攻撃を恐れるBさんの心情に配慮し、離婚後の面会交流に関する連絡等、面会交流以外の連絡手段として、面会交流連絡仲介アプリを導入することに合意しました。

① 連絡仲介アプリの機能

この連絡仲介アプリは、親子の交流日程調整、養育費支払いのリマインド・管理、思い出の記録などをサポートする連絡仲介アプリであり、親同士の感情的なやり取りを避け、冷静なやり取りを保つことを目的としているものです。

② 費用の分担

この連絡仲介アプリの利用には費用がかかりますが、この月額費用はAさんとBさんが双方折半することで合意されました。

解決内容(最終合意された主要点)

Aさんは有責配偶者として、解決金の支払に応じ、また長女Cさんの親権者兼監護者をBさんと定めることには合意する一方で、面会交流を実現させ、離婚後も面会交流を行うことを合意しました。

なお、面会交流については、上記のとおり、NPO法人東京面会交流支援センターの付添い型の面会交流支援を利用することや連絡手段として連絡仲介アプリを利用することが合意されました。

まとめ

DV等で直接連絡が取れない場合の面会交流の対応

本事例の解決のカギは、最終的にAさんが自身の有責行為を深く反省し、Bさんの心理的な負担を最小限にするための枠組み(第三者支援)を積極的に受け入れたことにあります。

Aさんの希望する自由な面会交流はBさんのAさんに対する恐怖感が強いことにより直ちに実現しませんでしたが、NPO法人東京面会交流支援センターの付添い型を利用することで、子の安全が確保された環境下で早期に交流を再開できました。

また、面会交流の場所以外での日常的な事務連絡についても、Bさんが恐怖を感じるLINE等の直接連絡を避け、連絡仲介アプリを導入することで、事務連絡のための経路を確保しつつ、父母間の心理的距離を保つという現実的な解決策に至りました。

これにより、感情的な争いを避け、Cさんのための継続的な養育環境の維持に焦点を当てることが可能となりました。

弁護士への相談の重要性

ご自身や配偶者の過去のDV行為や、深刻な対立が背景にある場合、当事者同士での直接的な交渉は、面会交流の実現を遠ざけるだけでなく、新たなトラブルを生む危険性が高まります。

弁護士は、感情的な対立の緩衝材となり、子の福祉を重視しつつ、面会交流が中断している家族の交流を再開させるために法的に適切な解決策を提案・実行します。

本事例のように、有責行為があっても子の面会交流の権利を確保するため、NPO法人東京面会交流支援センターのような第三者機関の利用調整や、連絡仲介アプリの利用を具体的に提案し、安全で実効性のある解決を導くことが可能です。

複雑な状況下での離婚交渉や面会交流にお悩みの際は、専門的な知識と経験を持つ弁護士にご相談ください。

当事務所は、依頼者様が子どもの親としての責任と愛情を果たせるよう、全力でサポートいたします。

面会交流を巡る問題は、放置するほど当事者の負担が大きくなり、子どもにも影響を及ぼしかねません。

早い段階で弁護士に相談することで、状況に応じた適切な対応方法を整理し、解決への道筋を明確にすることができます。

状況を丁寧に整理し、最適な進め方をご提案いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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投稿者プロフィール

弁護士牧野孝二郎
 牧野孝二郎 弁護士

これまで、離婚・相続・労働・交通事故などの民事事件を数多く手がけてきました。今までの経験をご紹介しつつ、皆様がお困りになることが多い法律問題について、少しでも分かりやすくお伝えしていきます。
■経歴
2009年03月 法政大学法学部法律学科 卒業
2011年03月 中央大学法科大学院 修了
2011年09月 司法試験合格
2012年12月 最高裁判所司法研修所(千葉地方裁判所所属) 修了
2012年12月 ベリーベスト法律事務所 入所
2020年06月 独立して都内に事務所を開設
2021年03月31日 優誠法律事務所を開設
2025年04月 他事務所への出向を経て優誠法律事務所に復帰
■著書
こんなときどうする 製造物責任法・企業賠償責任Q&A=その対策の全て=(出版社:第一法規株式会社/共著)